昭和４５年度決算検査報告
厚生保険特別会計について
厚生保険特別会計は、健康、日雇健康、年金および業務の各勘定に区分して経理されている。
（健康勘定について）
昭和４５年度末における政府管掌健康保険の適用事業所数は６６万余、被保険者数は１３１８万余人で、１事業所当りの被保険者数は１９．９人になっている。保険給付は、療養の給付、傷病手当金、出産手当金等の支給であるが、その大部分を占めている療養に関する給付（医療給付費）の４５年度の支出額は５２９１億５４９７万余円で、これは、被保険者１人当り３９，７８６円になっており、前年度に比べると６，７４４円の増加になっている。
健康勘定の４５年度の損益についてみると、保険料５２４０億９３２６万余円、一般会計からの受入２２５億円等の利益５６０９億１５４７万余円に対し、保険給付費５８７７億５２６８万余円、支払利子９８億３１５２万余円等の損失５９９８億２０８２万余円で、差引き３８９億０５３５万余円の損失になっており、前年度に比べて２６９億５４８８万余円増加している。
なお、４５年度は固定資産評価差益４９億５７８７万余円を利益に計上しているので、これを控除すると４３８億６３２２万余円の損失になり、これは、保険給付費の７．４％に当たっている。
このように損失が著しく増加したのは、主として、保険料収入の伸びが１５．９％であったのに対し、医療給付費が４５年２月および７月の診療報酬の引上げなどにより２２．０％増加したためである。
同勘定は、３８年度以降引き続いて損失を生じており、この間、保険料率の引上げ、被保険者の標準報酬月額上限の引上げ等保険料増収の処置を行ない、また、一般会計から累計１０９０億円の繰入れを受けているが、なお、４５年度末の累積損失は１４３３億０５４６万余円になっている。
（日雇健康勘定について)
昭和４５年度末における日雇健康保険の被保険者数は６３万余人であり、４５年度の医療給付費は４１４億９０４９万余円で、被保険者１人当り４４，０６５円になっている。
日雇健康勘定の４５年度の損益についてみると、保険料４９億５２９２万余円、一般会計からの受入１５４億５３５６万余円等の利益２５１億０５２９万余円に対し、保険給付費４４５億８００８万余円、支払利子６０億３０８９万余円等の損失５２６億５７７２万余円で、差引き２７５億５２４２万余円の損失になっており、これは、保険給付費の６１．８％に当たっている。
しかして、同勘定は、３５年度以降引き続いて損失を生じており、４５年度末の累積損失は１１６８億４２３０万余円になっている。
これは、保険給付に要する費用のうち３５％を国庫が負担しているが、保険給付費に対する保険料収入の割合が逐年低下したことによるものであり、４５年度における保険料収入は保険給付費の１１．１％にとどまっている。