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  • 昭和45年度|
  • 第2章 国の会計|
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素材の売渡しにあたり入札事務の執行が適正でないもの


(16) 素材の売渡しにあたり入札事務の執行が適正でないもの

会計名および科目 国有林野事業特別会計(国有林野事業勘定) (款)国有林野事業収入
(項)業務収入
部局等の名称 上松運輸営林署
売渡物品 木曾ヒノキ等の素材502m3
売渡価額 21,799,410円
売渡先 妻籠木材工業株式会社ほか5会社
契約 昭和45年7月、10月 一般競争契約

 上記の売渡しは、入札事務の執行が適正でなかったと認められる。

(説明)

 この物品は、上松、王滝両営林署管内の国有林で伐採し上松運輸営林署管内の貯木場に搬入してはい積み(注) した木曾ヒノキ等の素材を一般競争契約により売り渡したものである。
 しかして、入札後、最高価格入札者(入札金額23,983,850円)が入札金額の計算違い、書誤りまたは物品の取違えを理由として入札の取下げを申し出たのに対し、これを認めて2番札の者と契約したものである。
 しかし、会計法の規定によれば、契約担当官は、最高価格入札者と契約することになっており、入札者はその提出した入札書の取消しをすることができないことになっている。また、入札にあたっては、あらかじめ資格審査を経て選定された者に対し、物件明細書を送付し、現物を熟覧させたうえで入札を行なっており、本件予定価格と最高入札価格との開差も少ない状況である。したがって、契約担当官が、入札者の入札取下げの申し出を安易に認めて2番札の者と契約したのは当を得ないと認められる。
 なお、上記のほか、一般競争契約において1番札を排除し2番札の者と契約していると認められるものが、上記の営林署で21件(木曾ヒノキ等の素材1,819m3 、売渡価額76,076,458円)、王滝営林署で6件(同596m3 、36,775,589円)あったが、いずれも関係記録がないため入札執行の経緯については不明の状況である。

(注)  はい積み 材木や米俵などを整然と積み上げることをいう。