ページトップ
  • 昭和45年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第4 農林省|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

水田麦作団地育成対策事業の事業効果について処置を要求したもの


(1) 水田麦作団地育成対策事業の事業効果について処置を要求したもの

(昭和46年10月20日付け46検第307号 農林大臣あて)

 農林省では、農業協同組合等が実施する水田麦作団地育成対策事業(米麦等二毛作地帯において麦の作付面積を維持増大し生産性の向上を図るため、高能率の栽培用、収穫用の機械、乾燥調製施設等を導入する事業)について都府県が補助金を交付する場合、都府県に対し補助に要する費用について補助金を交付することにしており、昭和44年度には、茨城ほか21県に対して70地区分2億4379万余円を交付している。
 しかして、上記の国庫補助金の交付対象になった地区のうち、茨城ほか11県管内の20地区(事業費2億2666万余円、これに対する国庫補助金8981万余円)について、本院が事業効果を実地に調査したところ、別表のとおり、茨城ほか7県管内の12地区(事業費113,200,622円、これに対する国庫補助金41,732,883円)は補助の目的を達していないと認められた。これを態様別に示すと、次のとおりである。

(1) 麦の作付けが全く行なわれていないもの 2地区
(2) 麦の作付面積が計画を著しく下回っているもの 8地区
(3) 麦の作付面積が44年度ではほぼ計画どおりであったが、45年度では激減しているもの 2地区

 このような事態を生じたのは、次のような理由によると認められる。

(1) 事業主体のうちには、次のように配慮が十分でないまま事業計画を策定していると認められるものがあること

(ア) 土壌、排水等のほ場の条件が麦作に適していないのにその対策を考慮していないこと

(イ) 麦作と水稲作等との間に競合する期間があるのにその調整を考慮していないこと

(ウ) 機械化集団麦作を推進する体制の整備についての十分な検討をしていないこと

(2) (1)のように配慮が十分でないため、事業目的の達成が困難であると認められる事業申請があるのに、これに対する県および国の審査、検討が十分でないと認められること

(3) 事業主体のうちには事業の効果発揮についての意欲が十分でないものがあり、また、これに対する国および県の指導監督が十分でないこと

 上記の事態について本院が質問を発したところ、農林省では、本件事業の目的達成を図るため、各地方農政局長に対し事業計画、事業実施等について指導を強化するよう通達を発している。ついては、今後、この通達の実行を確保して事業計画の策定および審査を適切に行なわせるとともに、事業推進についても十分に指導監督させ、もって本件事業の効果をあげる要があると認められる。

(別表)

(1) 麦の作付けが全く行なわれていないもの

庁名 県名 事業主体名 事業費 左に対する国庫補助金
千円 千円
中国四国農政局

徳島県

阿南市桑野農業協同組合 9,553 3,335
 15haの麦作付けを実施することとして、乾燥施設1むねおよびトラクタ2台等を導入したものであるが、この地区のほ場は排水不良の湿田が多く必ずしも麦作に適していないなどのため、44、45両年度とも麦の作付けが全く行なわれていない。
 同

香川県

観音寺市観音寺農業協同組合 9,168 3,728
  32haの麦作付けを実施することとして、乾燥施設1むねおよびトラクタ3台等を導入したものであるが、この地区のほ場は干拓地で地下水位が高く、かつ、干拓後の客入土が粘土質で排水も悪く、必ずしも麦作に適していないなどのため、44、45両年度とも麦の作付けが全く行なわれていない。

小計

18,721 7,063

(2) 麦の作付面積が計画を著しく下回っているもの

庁名 県名 事業主体名 事業費 左に対する国庫補助金
千円 千円
関東農政局

茨城県

下館市下館西部麦作利用組合 30,016 13,758
 23haの麦作付けを実施(3年後の目標面積68ha)することとして、乾燥施設1むねおよびトラクタ3台等を導入したものであるが、この地方の農家は農外就労が多く、麦の集団栽培に対する意欲が乏しいのに、事前の検討、話合いが十分でなかったなどのため、麦の作付面積は44年度12ha、45年度8haにすぎない。
 同

長野県

長野市若穂町農業協同組合 3,996 1,572
 32ha の麦作付けを実施することとして、トラクタ1台および乾燥機1台等を導入したものであるが、この地方における麦作の水稲はおおむね直播きにより5月の上旬から中旬の間に播種しており、したがって麦の収穫期(6月)と競合するなどのため、麦の作付面積は44年度5ha、45年度4haにすぎない。
近畿農政局

滋賀県

八日市市八日市市農業協同組合(玉緒地区) 8,529 2,843
 46ha の麦作付けを実施(3年後の目標面積54ha)することとして、トラクタ4台およびバインダ9台等を導入したものであるが、この地方は水稲の早植えが普及(田植期5月下旬〜6月上旬)しており、麦の収穫期(5月下旬〜6月上旬)と競合するなどのため、麦の作付面積は44年度11ha、45年度14haにすぎない。
 同

滋賀県

八日市市八日市市農業協同組合(御園地区) 6,812 2,270
 38 ha の麦作付けを実施(3年後の目標面積46ha)することとして、トラクタ3台およびバインダ7台等を導入したものであるが、前項同様田植えの時期と麦の収穫期とが競合するなどのため、麦の作付面積は44年度10ha、45年度13haにすぎない。
 同

滋賀県

八日市市八日市市農業協同組合(建部地区) 6,854 2,284
 32haの麦作付けを実施(3年後の目標面積35ha)することとして、トラクタ3台およびバインダ7台等を導入したものであるが、前項同様田植えの時期と麦の収穫期とが競合するなどのため、麦の作付面積は44年度7ha、45年度6haにすぎない。
 同

滋賀県

犬上郡甲良町厚生社農業協同組合 5,360 1,786
 30ha の麦作付けを実施(3年後の目標面積50ha)することとして、バインダ12台等を導入したものであるが、前項同様田植えの時期と麦の収穫期とが競合するなどのため、麦の作付面積は44年度10ha、45年度13haにすぎない。
中国四国農政局

岡山県

勝田郡勝北町西下西利用組合 3,170 1,056
 31ha の麦作付けを実施することとして、トラクタ1台およびバインダ2台等を導入したものであるが、この地方の農家は農外就労が多く、麦の集団栽培に対する意欲が乏しいのに、事前の検討、話合いが十分でなかったなどのため、麦の作付面積は44年度11ha、45年度8haにすぎない。
 同

香川県

大川郡大川町大川町産宮生産協議会 4,431 1,477
 30ha の麦作付けを実施することとして、バインダ6台およびトラクタ2台等を導入したものであるが、この地区はたばこ等と麦との間混作が行なわれていたなどのため、麦の作付面積は44、45両年度とも13haにすぎない。

小計

69,168 27,046

(3) 麦の作付面積が44年度はほぼ計画どおりであったが、45年度では激減しているもの

庁名 県名 事業主体名 事業費 左に対する国庫補助金
千円 千円
関東農政局

埼玉県

大里郡岡部町岡部農業協同組合 9,134 3,877
 46ha の麦作付けを実施することとして、コンバイン1台およびトラクタ1台等を導入し、44年度は43haの作付けを実施したが、麦の播種が水稲の収穫期と競合してその適期を逸したなどのため、収穫が著しく減少し、麦の作付面積は45年度14haにすぎない。
中国四国農政局

鳥取県

東伯郡羽合町浅津農業協同組合 16,177 3,745
 30haの麦作付けを実施することとして、乾燥施設1むねおよびトラクタ2台等を導入し、44年度は計画どおりの作付けを実施したが、この地区のほ場は、排水不良の湿田が多く、必ずしも麦作に適していないなどのため、収穫をあげることができず、麦の作付面積は45年度12haにすぎない。
小計 25,311 7,622
合計 113,200 41,732

(2) 押航土運船の損料の算定について処置を要求したもの

(昭和46年11月19日付け46検第337号 農林大臣あて)

 農林省が昭和45年度に直轄で施行している干拓工事のうち、押航土運船を使用して干拓堤防の盛土等を実施している笠岡湾干拓建設事業築堤用土運搬工事ほか6工事(工事費6億9000万余円)について検査したところ、次のとおり、押航土運船の運転日当り損料積算の基準が実情に適合していないため予定価格の積算が適正でないと認められる事例が見受けられた。
 上記各工事においては、押航土運船の運転日当り損料を1,324日分107,030,335円と算定している。この運転日当り損料は、同省の「土地改良事業等請負工事機械経費積算要領」等の基準において、押航土運船の損料は供用日および運転日を単位として算定すること、運転日当り損料については、1日の運転時間が常態(おおむね8時間)を著しく上回った場合には基準で示している損料額を1.5倍(運転時間12時間から16時間の場合)または2倍(運転時間16時間以上の場合)に補正することを示しているので、これに従って積算されたもので、積算額のうち、補正額は50,085,719円となっている。

 しかして、上記の積算要領で示している押航土運船運転日1日当り損料額は、運輸省が行なった「特殊規格作業船稼働状況調査」(以下「作業船調査」という。)の結果による運転日数および修理費を基礎として算出されたものである。そして、本院がこの作業船調査の内容を検討したところ、この調査では押航土運船の運転時間についての調査をしていないが、押船の運転日当りの平均運転時間が12時間となっているので、この押船と組み合って作業する押航土運船の1日当り運転時間もおおむね12時間であったと認められる。したがって、この実績を基礎にして算出された上記積算要領の運転日1日当り損料額は、1日おおむね12時間程度の運転時間に対応するものであることになるから、この損料額について、前記のとおり、1日当り運転時間おおむね8時間が常態であるとしていること、およびこれを基準として補正することとしていることは実情に適合しないと認められる。
 本件各工事について、基準で示している損料額の1日当り運転時間は12時間であるとして運転日当りの損料を積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。
 ついては、農林省においては、押航土運船を使用する工事を今後も引き続き施行するのであるから、上記の事例にかんがみ、実情に適合した補正基準を定めるなどして、予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

(3) 米穀の原材料用変形加工に伴う徴収金の算定について処置を要求したもの

(昭和46年11月25日付け46検第341号 食糧庁長官あて)

 食糧庁で、昭和45年度に、精麦会社52会社に政府所有玄米88,961tの原材料用変形加工(みそ、米菓等の原料にするため、玄米をとう精のうえ破砕して破砕精米を生産すること。45年度には、上記の玄米から71,553tの破砕精米が生産されている。)を委託している。そして、委託にあたっては、変形加工の過程で発生する微細米、ぬか等の副産物は加工会社に帰属することにし、この副産物収入が変形加工に要する経費等を上回るため、変形加工により生ずる副産物収入から変形加工経費および製品包装代を差し引いた額を国に納付させることにしており、45年度にはこの差額として上記の52会社から総額2億2679万余円を徴収している。
 しかして、上記の徴収金算定の適否を検査したところ、次のとおり、徴収金決定の基礎として採用した副産物価格が適切でないと認められる点が見受けられた。

(1) 製品1t当りに生ずる微細米の価格を、次の算式により2,998円と積算している。

(1)製品1t当りに生ずる微細米の価格を、次の算式により2,998円と積算している。

 しかして、同庁においては、上記の算式に採用する微細米1kg当り価格を34円10としているが、45年度に変形加工を委託した前記の52会社のうち24会社について本院が調査したところ、これらの会社における微細米の売渡価格(工場渡し価格)は1kg当り47円から54円平均52円程度になっているばかりでなく、本件微細米と用途、品質等が類似しているくず白米は、一般に1kg当り63円程度(産地工場における売渡価格)で取引されている状況であって、これらに比べて、同庁が採用している上記の価格は著しく低価になっていると認められる。

(2) 製品1t当りに生ずるぬかの価格を、次の算式により2,335円と積算している。

(2)製品1t当りに生ずるぬかの価格を、次の算式により2,335円と積算している。

 しかして、同庁においては、上記の算式に採用するぬか1kg当り価格を17円としているが、同庁が定期的に行なっている調査の結果によると、精米工場におけるぬかの売渡価格は20円程度になっており、これに比べて同庁が採用している上記の価格は低価になっていると認められる。
ついては、この種変形加工は今後も相当量行なわれることが見込まれているのであるから、上記にかんがみ、すみやかに変形加工に伴う副産物の価格に検討を加えるなどして、原材料用変形加工に伴う徴収金算定の適正を期する要があると認められる。

 検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

(ずい道工事の予定価格の積算について)

 昭和45年度に東北ほか5農政局(注) が施行した赤川農業水利事業東1号幹線用水路トンネル工事(その1)ほか83工事の予定価格の積算について検査したところ、次のとおり適切でないと認められる事例が見受けられた。

(ア) ずい道の覆工コンクリート量について、覆工背部と地山との間にコンクリートが完全にてん充されることとして工事費を積算しているものがあるが、施工の実態からみてコンクリートを完全にてん充することは困難であるからこれを考慮すべきである。

(イ) ずい道掘削用爆薬について、新桐ダイナマイトを使用することとしているものがあるが、施工の実情は、2号榎ダイナマイトが一般的に使用されており、また、その使用量は積算基準に比べて著しく下回っているからこれを考慮すべきである。

(ウ) ずり積込機械の損料について、ずり運搬時間を損料の対象となる運転時間に算入して積算しているものがあるが、ずり運搬時間は、積込機械の運転時間には含まれないものであるからこれを除外すべきである。

 このような事態を生じたのは、農林省で定めている積算基準にずい道工事における覆工コンクリート量およびずり積込機械等の運転時間に関する定めが設けてなかったり、掘削用爆薬に関する基準が不備となっていたりしていたことによると認められたので注意したところ、農林省では、46年4月、爆薬について、2号榎ダイナマイトが一般的に使用されている実情にかんがみ適正な銘柄のものを使用するよう通達を発し、また、同年6月、上記の各項について積算基準を改訂すべく実績資料の収集等の処置を講じている。

(注)  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国各農政局

(食用または飼料用に充当できない米穀の処理について)

 食糧庁では、多量の米穀を営業倉庫等に保管寄託し、多額の保管料等を支払っているが、このうちにはカビ等に汚染されているため食用または飼料用に充当できない米穀(以下「カビ米等」という。)が相当に含まれている。
 しかして、このカビ米等に対しては、工業用原材料としての需要が相当多量にあるので、横流れ等の防止の措置を十分講じたうえ、上記の保管中のカビ米等のうちすでに仕訳済みのものについてはすみやかに売渡しを行ない、また、仕訳のすんでいないものについては、汚染度の高いはい(注) から優先的に出庫することにより仕訳整理して売渡しを行ない、もって保管料等の節減を図る要があると認められた。これについて当局の見解をただしたところ、食糧庁では、昭和46年9月、カビ米等をすみやかに売り渡すよう各食糧事務所に通達を発し、各食糧事務所では、保管中のカビ米等の売渡しを促進するなどの処置を講じている。

(注)  はい 材木や米俵などを整然と積み上げた状態をいう。