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  • 昭和45年度|
  • 第2章 国の会計|
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  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

空港におけるアスファルト舗装工事の予定価格の積算について処置を要求したもの


空港におけるアスファルト舗装工事の予定価格の積算について処置を要求したもの

(昭和46年11月15日付け46検第332号 運輸大臣あて)

 運輸省第二港湾建設局ほか2港湾建設局(注) が昭和45年度に施行した空港の滑走路舗装工事のうち、1工事当りの舗装面積が50,000m2 をこえる大規模な舗装工事を施工している新熊本空港滑走路新設工事ほか10工事(工事費17億余円)について、その予定価格を検査したところ、下記のとおり、運輸省が定めた「港湾、空港請負工事積算基準」(以下「積算基準」という。)が施工の実情に適合していないなどのため、アスファルト舗装工事の工事費の積算が適正でないと認められる事例が見受けられた。
 このような事態を生じたのは、最近、舗装工事用の各種機械の施工能力が機械の大型化等に伴い著しく増大しているのに、これに適応した積算基準の整備が遅れていることによると認められる。
 ついては、同省における空港建設工事は今後も引き続き施行され、しかも、逐年増加の傾向にあるから、下記の事例にかんがみ、アスファルト舗装工事の施工の実態を十分調査検討し、積算基準の内容を整備して、予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

(注)  第二、第三、第四各港湾建設局

 記

(1) アスファルト舗装機械の運転経費について

 アスファルト舗装工事に使用されるアスファルトフィニッシャ(注1) 、マカダムローラ等の機械の運転経費についてみると、積算基準により機械ごとに施工能力を算定してこれに基づいて機械ごとの運転経費を積算することとし、舗装面積1,379,850m2 について総額41,010,645円を積算している。しかして、上記の積算基準では、これらの機械の作業速度をアスファルトフィニッシャ2.4m/分、マカダムローラ2,000m/時、タイヤローラ3,000m/時、三軸ローラ2,000m/時としていて、これらの作業速度等を基礎にして算出された上記の施工能力は、アスファルトコンクリート合材の供給能力が40t/時程度のアスファルトプラント(注2) の合材供給能力におおむね適合する程度のものとなっていると認められる。
 しかし、これらの機械は、組合せ機械として相互に密接な関係をもちつつ作業するものであり、また、これらの機械は、アスファルトプラントの合材供給能力に応じて、作業速度を積算基準で定めている速度より相当に速くしても十分舗設できる能力をもっている。しかして、本件各工事のように舗装面積が大規模な場合には、60t/時以上の大型アスファルトプラントにより合材を供給するのが経済的であり、かつ通例であるから、このような場合には、舗装機械の施工能力は、大型アスファルトプラントの合材供給能力に適合したものであり、かつ、適切な組合せ作業をするものとして算定すべきであったと認められ、これにより積算したとすれば積算額を相当程度低減できたと認められる。

(2) アスファルト舗装工の舗設歩掛について

 アスファルト舗装工の労務費(舗装機械の運転経費に計上されるものを除く。)についてみると、積算基準に基づき、舗装面積が30,000m2 以上の場合の歩掛を適用して1,000m2 当り舗装工3人、土工6人計9人を要するとし、総額24,752,733円を積算している。
 しかして、アスファルトフィニッシャと各種の転圧機械を組み合せて施工するアスファルト舗装工事は、その作業工程のほとんどすべてが機械化施工であって、その組合せ機械当りや所要人工数は、施工量にかなりの増減があってもほぼ一定していると認められる。そして、本件各工事のように舗装面積が30,000m2 を著しくこえている場合は、30,000m2 程度の舗装工事に比べて、前項(1)で述べたようにアスファルトプラントの規模が大きいのが通例であり、したがって1日当りの施工面積も大きいと認められるから、単位面積当りの舗設歩掛は上記の当局が積算の基礎にしているものに比べて相当程度低減すると認められ、これにより積算したとすれば積算額を相当程度低減できたと認められる。

(3) 路盤工の歩掛について

 路盤工の労務費(転圧機械の運転経費に計上されるものを除く。)についてみると、積算基準に基づき、ダンプトラックから取り卸した路盤材料をモータグレーダ(注3) で敷きならすのに1m3 当り手元土工0.03人または0.04人、および路盤仕上げに100m2 当り土工1.0人または1.2人を要するとし、総額38,658,984円を積算している。
 しかし、路盤材料を規定の厚さどおりまき出すのはモータグレーダに適した作業であり、かつ、最近のモータグレーダは高仕上り精度の機構を備えているので、路盤材料の敷きならしおよび路盤仕上げは人力をほとんど要することなく容易に施工できると認められるから、本件各工事の場合、上記の歩掛は相当程度低減すると認められ、これにより積算したとすれば積算額を相当程度低減できたと認められる。

(注1)  アスファルトフィニッシャ 舗設の際アスファルトコンクリート合材の敷きならしに使用する機械

(注2)  アスファルトプラント 舗装工事などに使用するアスファルトコンクリート合材等を生産する機械設備

(注3)  モータグレーダ 機体下部に装着してある刃で土砂の切削り、ならしを行なう土工機械。路床、路盤の仕上作業や砂利道の維持補修に使用する。

 検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

(電気需給契約に基づく電気料金について)

 港湾技術研究所では、契約種別を業務用電力(電灯電力併用)として電力会社との間に電気需給契約を締結し規定料金を支払っていた。しかし、通商産業省が電力会社に発した通達によれば、この種の研究施設については、契約負荷設備のうち動力の占める割合が60%をこえる場合には規定料金によらず割安な料金の適用を受けられることになっており、同研究所はこの条件に合致しているものである。したがって、規定料金を支払っているのは適切でないと認め、当局の見解をただしたところ、同研究所では、電力会社と協議して、昭和46年10月、割安な料金の適用を受けられるよう処置を講じた。

 また、大阪航空局大阪空港事務所でも、航空保安施設に使用する電気について上記と同様業務用電力の規定料金を支払っていたが、航空保安施設は公共的性格を持つものであり、同空港事務所と電気需給契約を締結した電力会社では、航空保安施設と類似の公共施設については割安な料金を適用する扱いをしているので、上記の航空保安施設が使用する電気についても他の公共施設と同様の扱いを受けられるよう処置を講ずる要があると認め、当局の見解をただしたところ、同空港事務所では、電力会社と協議して、46年9月、航空保安施設を上記電力会社の電気供給規程の公共事業の範囲に含め割安な料金の適用を受けられるよう処置を講じた。