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  • 昭和45年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 会計事務職員に対する検定

物品管理職員に対する検定


第2 物品管理職員に対する検定

(概況)

 昭和45年11月から46年10月までの間に、物品管理職員が物品を亡失しまたは損傷した事実について所管庁から報告を受理したものは8,889件1,224,702,746円である。これに繰越し分10件13,282,992円を加え、処理を要するものは8,899件1,237,985,738円であり、そのうち上記の期間内に処理をしたものは8,891件1,197,305,632円である。
 処理を要するものおよび処理をしたものの所管別内訳は次表のとおりである。

物品管理職員に対する検定の図1

 処理をしたもののうち物品管理職員に弁償責任があると検定したものは1件500,000円である。その他の8,890件1,196,805,632円は、物品管理職員が物品の管理行為について善良な管理者の注意を怠ったことによるものでないと認めたもの3,682件1,143,369,165円、郵政省の切手類管理職員がその管理する切手類を損傷したもので故意または重大な過失によるものでないと認めたもの3,221件144,447円、物品管理職員が物品を亡失しまたは損傷したことによって生じた損害の全額がすでに補てんされているもの1,987件53,292,020円である。
 なお、総理府および農林省の金額が多いのは、総理府では防衛庁において訓練中に物品を亡失しまたは損傷したことによるものであり、農林省では災害のため多量の食糧を損傷したことによるものである。

(検定したものの説明)

 弁償責任があると検定したものは郵政省の1件500,000円で、その概要は次のとおりである。
 東京郵政局管内下谷郵便局分任切手類管理官補助者吉越某は、昭和45年9月21日、東京鉄道郵便局上野分局内に設けられた窓口分室へ三千円収入印紙100枚(5シート)と五千円収入印紙100枚(1封包)を届けるため、これらを窓口在庫簿の間にはさみ、この窓口在庫簿と職員から個人的に発送を依頼された小包(重量約2kg)を持って下谷郵便局仮局舎(局舎改築のため上野公園内に設けたもの)を出発した。そして、国鉄上野駅公園口の改札口を通り同駅浅草口の改札口の手前で窓口在庫簿を開いたところ、五千円収入印紙1封包が紛失していた。
 これについて審理したところ、吉越補助者は、平素、課長代理および主事から切手類を分室へ自ら運ばないように注意されていたのであるからあらかじめ指定されていた職員にその運搬を求めるべきであったと認められ、また、自ら運ぶにしても、少なくとも、封筒に入れるなどの処置をとり、かつ、常に注意を払うことができる状態で運ぶべきであったと認められる。しかるに、同補助者は、多額の収入印紙を窓口在庫簿の間にはさんだまま、他人から依頼された小包まで持って人混みの激しい街路や駅構内を持ち運び、その間に紛失するに至ったのであるから、本件亡失は、同補助者の重大な過失によるものと認めた。