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  • 昭和45年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

日本輸出入銀行


第14 日本輸出入銀行

(事業概要について)

 昭和45年度の貸付承諾額は5356億2899万余円で、前年度に比べて1527億7201万余円増加しているが、これは、船舶等の輸出金融が増加したことなどによるものである。
 45年度の貸付実行計画は、前年度までの承諾に基づいて45年度に貸付実行の計画をした分を含め4300億円で、これに対し、貸付実行額は4669億2001万余円で、前年度に比べて985億0374万余円増加している。この原資には、政府出資金760億円、資金運用部資金の借入金3130億円および回収金等779億2001万余円を充当している。
 貸付実行額のうち、輸出金融は3599億0458万円で、前年度に比べて643億0888万円(21.7%)増加しており、このうち船舶は2096億0750万円、電気、通信機械等のプラントは1502億9708万円で、それぞれ304億8410万円(17.0%)、338億2478万円(29.0%)増加している。輸入金融は268億8420万円、海外投資金融(海外事業金融を含む。)は418億6260万円で、海外資源開発の活発化を反映してそれぞれ166億5600万円(162.8%)、208億3250万円(99.0%)増加している。また、外国政府等に対する借款は382億6863万余円で32億2243万余円(7.7%)減少している。
 船舶の輸出金融の貸付条件は、44年度貸付承諾分から融資比率70%、貸付利率年4.25%ないし年4.75%としていたが、45年5月に日本銀行の輸出関係の貸出金利が引き上げられたことに即応するなどのため、同年7月15日以降建造許可の船舶については貸付利率を年5%に引き上げている。さらに、同年12月、経済協力開発機構(OECD)造船作業部会の申し合せによる船舶延払輸出条件の改訂に伴い貸付条件を改訂し、融資比率を70%ないし55%、貸付利率を年5%ないし年7%としている。また、電気、通信機械等のプラントについては年5%ないし年6.5%の利率を適用する貸付けが増加している。

 貸付実行額から回収額1847億5871万余円を差し引いた年間純増加額は2821億6129万余円であり、年度末貸付金残高は1兆5967億1593万余円になっている。
 45年度において債務を保証した額は77億5078万余円、減少した保証額は77億4183万余円(うち保証債務を履行したもの27億2055万余円)で、年度末保証(支払承諾)残高は403億8642万余円になっている。
 なお、インド政府に対する借款については、前年度に引き続き債権繰延処置を講じており、45年度中に償還期限が到来した元本64億2728万余円についてその償還条件を3年据置後9年の半年賦払に変更し、貸付利率を年4%(原利率年5.75%または年6.00%)に引き下げた。また、日本輸出入銀行が債務を保証している市中銀行の協調融資のうち、同年度中に償還期限が到来した元本27億2055万余円について保証債務を履行し、同額を前記と同一の条件により同政府に対する借款としている。これにより、同政府に対する借款の年度末残高は1263億1295万余円になっている。

(損益について)

 45年度において、利益は、貸付金利息736億2737万余円等874億0820万余円、損失は、借入金利息769億1105万余円、事務費15億3978万余円等貸倒準備金繰入前で862億2246万余円になり、差額11億8574万余円を貸倒準備金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入額は年度末貸付金残高の1000分の0.74に相当し、これを繰り入れた累積額95億7257万余円は年度末貸付金残高の100分の0.59になっている。
 45年度の総収益率は4.64%で、輸出金融の貸付利率を一部引き上げたことなどにより前年度に比べて0.05%上昇し、貸倒準備金繰入前の経費率は4.56%で、前年度に比べて0.02%上昇している。また、貸倒準備金繰入率は0.08%になり、前年度に比べて0.03%上昇している。