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  • 昭和45年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第16 日本道路公団|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

高速道路等の工事費の積算について処置を要求したもの


高速道路等の工事費の積算について処置を要求したもの

(昭和46年11月17日付け46検第336号 日本道路公団総裁あて)

 日本道路公団が昭和45年度に施行した高速道路等の工事のうち、土工事を主体とした東北高速道路岩槻北工事ほか57工事(工事費約510億円)について、予定価格の積算および施工の状況等を検査したところ、下記のとおり、同公団で定めている積算要領に明確でない点があるなどのため、積算が適正でないと認められる事例が見受けられた。
 ついては、同公団における高速道路等の建設は今後も引き続き施行され、しかも、逐年増大の傾向にあるから、下記の事例にかんがみ、工事費積算の実態を十分調査検討して積算要領の内容を整備し、予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

(1) 東北高速道路岩槻北工事ほか38工事において、遠心力鉄筋コンクリート管等の基礎コンクリートの型わく費として49,533m2 について、48,379,488円を積算している。しかして、この型わく費は、積算要領に定めている側溝および集水ます等の構造物に使用する型わく(同公団の仕様における区分名はクラスD2)の算定基準を適用して積算したものである。
 しかし、本件各工事の型わくは、いずれも型わくとしては最も簡単な構造のものであるから、積算要領に基礎コンクリート用として定められている型わく(同公団の仕様における区分名はクラスD3。1m2 当り単価はD2より割安)の算定基準を適用するのが施工の実情に合っていると認められるのに、上記のような積算をしたのは適切とは認められない。このような事態を生じたのは積算要領の定めが明確でないことによると認められる。
 本件各工事の型わく費を上記の適切と認められる基準によって積算したとすれば、精算額を相当程度低減できたと認められる。

(2) 東北高速道路岩舟北工事ほか9工事において、本線内工事用道路費として69,194,383円を積算している。しかして、積算要領によれば、本線内工事用道路費は、道路の切土、盛土等の施工段階で本線敷の一部を掘削土等の運搬路として利用する場合、掘削または盛土した状態では走行路が確保できない際に、その維持補修または改良を行なうため施工する敷砂利等の経費を積算することになっており、その経費の額は、切土または盛土の土質等の施工条件を考慮して算定することになっている。
 しかし、本件各工事においては、切土または盛土の土質の大部分が良質で、掘削または盛土した状態でも走行路が十分確保できると認められるのに、全工事土量を対象として本線内工事用道路費を一律に計上しているものがあり、また、本線内工事用道路費は維持補修のための経費であるから、その維持補修費をさらに見込む必要はないと認められるのに、これを計上しているものがあるなど、必要以上の経費が積算されている。このような事態を生じたのは、積算基準の定めが明確でないことによると認 められる。 
 本件各工事の本線内工事用道路費を切土または盛土の土質等に応じて適切に積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。

(3) 東北高速道路岩槻北工事ほか19工事において、現場打鉄筋コンクリート杭延長97,057mに使用する生コンクリート86,821m3 の現場経費等として、60,298,000円を積算している。
 しかして、現場経費等の算定については、積算要領において、本件のような鉄筋コンクリート杭に使用する生コンクリートについても、施工の実情に合わせ、特殊材料扱いとして材料費の2分の1を現場経費等の対象額にする建前となっているが、上記の積算額は誤って一般材料同様の現場経費等を積算したもので適切とは認められない。このような事態を生じたのは、積算要領の記載が適切でないことによると認められる。
 本件各工事の現場経費等として上記の建前に従って積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。