昭和４６年度決算検査報告
| 会計名および科目 | 一般会計 国税収納金整理資金 | (款)歳入組入資金受入 (項)各税受入金 |
| 部局等の名称 | 麹町ほか217税務署 | |
| 納税義務者または源泉徴収義務者 | 1,305人 | |
上記の１，３０５人から租税を徴収するにあたって、調査が十分でなかったなどのため、徴収額が不足していたものが１，２６８事項９９９，６００，９４１円、徴収額が過大になっていたものが３７事項１５，７４６，４０３円あった。これらは、本院の注意により、すべて徴収決定等の処置がとられた。
これを国税局ごとに集計して税目別に掲げると、別表
のとおりである。
（説明）
これらの徴収過不足の事態は、納税者が申告書等において所得金額、税額の計算等を誤っていたのに当局の調査が十分でなかったこと、当局が法令の適用、税額の計算等を誤ったこと、課税資料の収集、活用を適確にしていなかったことによって生じたもので、そのおもな態様を示すと次のとおりである。
１ 源泉所得税に関するもの
（１） 配当（１７７事項）、給与等（１１０事項）
調査が十分でなかったため、源泉徴収をして納付すべき期限が到来していたのに、納税の告知をしていなかったものである。
（２） 報酬、料金等（４９事項）
課税資料の収集、活用が適確でなかったなどのため、源泉徴収をして納付すべき期限が到来していたのに、納税の告知をしていなかったものである。
２ 申告所得税に関するもの
（１） 譲渡所得（１１２事項）
居住用財産の買換えの場合等の課税の特例の適用を誤ったり、部内の連絡が適切でなかったりしたため、土地、建物等の譲渡に対して課税処理をしていなかったものである。
（２） 配当控除（４３事項）
配当所得がある場合には、その配当所得の金額に所定の率を乗じて計算した金額を所得税額から控除することになっているが、この控除する金額の計算を誤っていたものである。
（３） 資産所得の合算（４０事項）
生計を一にする所定の世帯員が配当所得または不動産所得を有する場合には、これらの資産所得を主たる所得者の所得に合算して税額を計算することになっているのに、世帯員の資産所得を合算していなかったものである。
（４） 雑所得（３０事項）
課税資料の収集、活用が適確でなかったなどのため、貸付金の利子等に対する課税処理をしていなかったものである。
３ 法人税に関するもの
（１） 減価償却資産の償却（２８７事項）
減価償却資産の償却額は、所定の限度額の範囲内で、所得の金額の計算上、損金に算入することができ、また、特定の減価償却資産については、割増償却等の特例が認められているが、中小企業者の機械等の割増償却、合理化機械等の特別償却等の特例計算を誤って、償却額を過大に計算していたものである。
（２） 同族会社の留保金額（８８事項）
同族会社の留保金額のうち所定の金額をこえる部分の金額に対しては、特別税率による法人税を課税することになっているのに、この金額の計算を誤ったり、課税をしていなかったりしていたものである。
（３） 交際費等（７１事項）
交際費等の額のうち所定の金額をこえる部分の金額は、所得の金額の計算上、損金に算入しないことになっているのに、これを損金に算入していたものである。
（４） 退職給与引当金（３９事項）
退職給与引当金への繰入額は、所定の限度額の範囲内で、所得の金額の計算上、損金に算入することができ、また、使用人が退職した場合には、同引当金のうち所定の金額を取りくずして益金に算入することになっているが、繰入額を過大に計算したり、取りくずし額を過小に計算したりしていたものである。
