科目 | (工事勘定)(項)一般施設取替改良費 |
部局等の名称 | 大阪工事局 |
工事名 | 東海道本線下淀川橋りょう旧上り線構けたてっ去その他工事 |
工事の概要 | 建設省施行の淀川改修工事に伴う橋梁の嵩上のため線路を変更する工事の一環として、旧上り線の構桁および橋脚等を撤去する工事 |
工事費 | 225,748,924円(当初契約額212,000,000円) |
請負人 | 鉄建建設株式会社 |
契約 | 昭和46年10月 指名競争契約 |
この工事の施行にあたって、作業計画の策定および工事用桟橋設置費等の積算が適切でなかったため、約930万円が不経済になったと認められる。
(説明)
この工事は、橋梁延長766mの構桁および橋脚23基等を撤去するもので、、設計、積算にあたっては、橋脚間に架設用トラスを載せ、これを移動しながらクレーンにより順次構桁をとりはずし、これと併行して、工事用桟橋を設置し、この桟橋を利用して橋脚の撤去等を行ない、また、橋脚撤去のため橋脚周囲に仮設する締切に必要とする鋼材の打込み、引抜き等には作業船を使用して施工することと作業計画を想定していた。
しかして、橋脚撤去のために設置する工事用桟橋の設置計画、橋脚撤去工費の積算および構桁撤去用として架設する架設用トラスの仮支台の経費の積算についてみると、次のとおり適切でないと認められる点がある。
(1) 工事用桟橋の設置についてみると、桟橋は、橋梁に平行して延長694m(高水敷部370m、低水敷部324m)設置し両岸に接続することにしている。この桟橋は、仮締切に使用する粘土の搬入、橋脚の破砕くずの作業船までの運搬等のために必要であるとして設置することにしたもので、その設置に要する経費を55,021,120円、桟橋を使用して行なう上記作業の経費を13,210,623円計68,231,743円(高水敷部相当額33,752,640円、低水敷部相当額34,479,103円)と見込んでいる。
しかし、桟橋のうち低水敷部に設置されている324m間は、河川の水深が干潮時においても平均−6.7mあって、150 t積みの作業船でも常時作業することができると認められるので、仮締切用の粘土については、作業船で運搬し、そのてん充を作業船に塔載したクラムシェルにより行なうこととし、橋脚の破砕くずについては、クラムシェルにより作業船に直接積み込むこととしても作業上なんら支障がなく、また、これらに要する経費も桟橋を使用して行なうより低廉であるから、低水敷部の橋脚撤去関係の作業は作業船によって行なうことにして、低水敷部の桟橋は設置すべきでなかったと認められる。
現に、低水敷部の橋脚撤去作業のうち、仮締切用の鋼矢板の打込み、引抜き等の作業については、作業船により施工することにしている。
いま仮に、低水敷部の桟橋324mを設置しないで、作業船等を使用して撤去作業を行なうこととすれば、当局の計算によってもその経費は28,243,500円で足り、前記の積算額34,479,103円を約620万円低減できたと認められる。
(2) 工事用桟橋の設置に要する経費の算定内容についてみると、桟橋全延長の面積を3,808m2
と計算し、また、桟橋上に敷設する鋼製覆工板について1m2
当りの新品価格を14,000円として損料を計上している。
しかし、契約図面では設置面積を3,616m2
と明示しており、また、本社作成の積算要領では鋼製覆工板の損料額算出に使用する単価について市揚価格を勘案して1m2
当り新品価格を11,000円としているのであるから、これらにより計算すべきであったと認められ、当局の積算額は約490万円(うち前項(1)のとおり不要であったと認められる低水敷部を除いた高水敷部の分は約270万円)過大になっていると認められる。
(3) 構桁を撤去するときに使用する架設用トラスの仮支台の工事費3,012,150円の算定内容についてみると、橋脚1基につき2個所に仮支台を設置してそれぞれ2回の組立、撤去作業を行なうこととして計算しているが、それぞれ1回の組立、撤去によって構桁の撤去ができると認められ、当局の積算額は約100万円過大になっていると認められる。
上記の各項によって工事費を修正計算すると総額は216,383,023円となり、本件工事費はこれに比べて約930万円不経済になっていると認められる。