科目 | (工事勘定)(項)一般施設取替改良費 |
部局等の名称 | 東京第一電気工事局 |
工事名 | 武蔵境・マルス105システム間地中送電線路保蔵物新設工事 |
工事の概要 | 国鉄武蔵境変電所、コンピュータセンター変電所間に送電線路を新設するため、66KV特別高圧ケーブルを収容するトラフ等延長約3,800mを新設する工事 |
工事費 | 36,294,268円(当初契約額35,900,000円) |
請負人 | 日本電設工業株式会社 |
契約 | 昭和46年9月 指名競争契約 |
しゅん功検査 | 昭和47年2月 |
支払 | 昭和46年11月、47年3月 2回 |
この工事は、監督および検査が適切でなかったため、橋上式トラフ(工事費16,463,455円)の基礎および支持杭の施工が設計と相違し、橋上式トラフとしての強度、耐久性が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められる。
(説明)
この工事の設計図面および示方書によると、橋上式トラフ延長1,372mは、軌道沿いの法面に、支持杭2本(径12.5cm、長さ1.5mおよび2m)を並列(間隔60cm)に建て込んで上部を山形鋼で結合した門形の脚670脚を平均2m間隔で設置し、この脚を山形鋼で相互に連結した上に鉄筋コンクリート製トラフ(幅39cm)を設置することになっていた。そして、門形の脚の基礎は、法面を掘削した施工基面に底板として鉄筋コンクリート製平板(35cm×35cm)を設置し、底板の中心に支持杭を建て込んだ後、底板の四隅から出ている長さ9cmのつなぎ鉄筋と杭の脚部とを一体として根固めコンクリートを施工することになっており、また、支持杭は、遠心力鉄筋コンクリート製杭(肉厚25mm)を使用することになっていた。
しかし、実際は、基礎1,340箇所のうち838箇所は、根固めコンクリートが空げきの多い粗悪なものであったり、つなぎ鉄筋を底板上に折り伏せたまま根固めコンクリートが打ち込まれていたり、底板の設置位置がずれて支持杭が底板の中心に建て込まれていなかったりしているなど施工が著しく不良となっている。また、支持杭1,340本のうち353本は、鉄筋が露出していたり、肉厚が不足していたり、コンクリートのセメントペーストと骨材が分離していたりしており、なかにはすでにき裂を生じているものがあるなど著しく粗悪な製品が使用されていた。
上記のように施工が不良なため、門形の脚670脚のうち欠陥を生じて強度が低くなっているものが523脚に上っており、欠陥を生じていないものはこれらの間の各所に散在している147脚にすぎない状況で、本件橋上式トラフは全延長にわたってその強度および耐久性が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められる。