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  • 昭和46年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

通信用PVC屋内線の仕様について処置を要求したもの


通信用PVC屋内線の仕様について処置を要求したもの

(昭和47年11月21日付け47検第331号 日本電信電話公社総裁あて)

 日本電信電話公社で、昭和46年度中に購入しまたは請負施工の加入者宅内工事により設置している導体径0.8mm2心および3心並列の通信用PVC屋内線(以下「PVC屋内線」という。)は、合計約6890万m約5億7000万円に上っている。このPVC屋内線は、径0.8mmの導体に外被として塩化ビニル系樹脂を0.6mm被覆し並列させたもので、主として電話加入者宅内の保安器から電話機までの配線用として使用している。そして、その仕様は、27年5月に制定して以来、外被については仕様書を改定し品質を改良しているが、導体の径については、これを若干細径化しても通話の品質にほとんど影響を及ぼさないことが明らかであるのに、衝撃等に対する安全性を考慮したものとして当初制定のままとなっている。
 しかして、46年度現在におけるPVC屋内線の外被の仕様、配線の実情等について調査したところ、次のとおり、配線の安全性は27年当時に比べて大幅に高まっていると認められる。

(ア) 2回にわたってその外被の仕様が改定され、耐衝撃、耐引張等の強度が向上したものとなっている。

(イ) 接着式の電線カバー、ワイヤプロテクタ等配線保護用の材料が開発、改良され使用されている。

(ウ) 建築構造の近代化に伴い、電話配線用の配管が普及している。

 したがって、上記のような事情の変化を考慮すれば、経済性等を考慮して43年12月に導体径を0.8mmから0.65mmに細径化した鋼心入屋外線と同程度の導体径に改めるべきであったと認められるのに、上記のような実情を考慮しないで27年当時の導体径のままとしているのは適切とは認められない。
 ついては、本件PVC屋内線の使用量は、46年度を初年度とする電信電話拡充7箇年計画の進ちょくに伴って今後ますます増加すると認められるので、すみやかに仕様について検討を加え経費の節減を図る要があると認められる。
 検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

(場所打ち鉄筋コンクリート杭等に使用する鉄筋の加工組立費の積算について)

 昭和46年度に日本電信電話公社本社および東京ほか5電気通信局(注) で契約した場所打ち鉄筋コンクリート杭等の特殊土工事10件の予定価格の積算について検査したところ、鉄筋の加工組立費については、一般局舎用鉄筋加工組立および鉄骨現場溶接の歩掛りによって積算していた。しかし、この種工事に使用する鉄筋の加工、組立は定尺物をそのまま使用する場合が多いなど作業内容が比較的簡単であるのに、切断や曲げなどが多く作業が複雑でしかも高い仕上り精度が要求される場合に適用する上記の歩掛りによって加工組立費を積算しているのは、施工の実情に合わず適切とは認められない。
 このような事態を生じたのは、近年、杭径の大型化など施工の実情が変化しているのに、これに伴う積算基準の見直しが十分でなかったことなどによると認められたので注意したところ、日本電信電話公社では、47年10月、積算基準を改訂し、本件作業の施工の実情に適した歩掛りを新たに定める処置を講じた。

(注)  東京、関東、信越、北陸、近畿、中国各電気通信局