昭和46年度の貸付計画は、当初4547億6400万円であったが、その後の改訂により5745億1400万円になった。これに対し、貸付実行額は5786億7918万余円で、前年度に比べて1409億9122万余円増加している。
貸付実行額から投資育成会社貸付金7億5000万円および設備貸与機関貸付金29億6881万円を除いた5749億6037万余円を貸付方式別にみると、直接貸付1807億2500万円(31.4%)、代理貸付3942億3537万余円(68.6%)になっている。また、これを資金使途別にみると、設備資金2936億8688万余円(51.1%)、運転資金2812億7349万余円(48.9%)になっていて、前年度に比べて、設備資金で416億6496万余円減少し、運転資金で1830億8618万余円増加している。なお、運転資金の増加額のうちには、アメリカ合衆国の輸入課徴金制度、同国に対するわが国の繊維輸出自主規制等の実施に伴い影響を受ける中小企業に対する金融措置として実施された輸出関連中小企業向け緊急融資569億4045万円、繊維産業向け特別融資169億1257万余円が含まれている。
貸付実行額から回収額等3565億4291万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は2221億3627万余円であり、年度末貸付金残高は1兆1478億1771万余円になっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は49億5449万余円(うち1年以上延滞のものは41億7073万余円)で、前年度末に比べて2億0377万余円(1年以上延滞のものでは2億2814万余円)増加している。
46年度中の資金交付額は5744億4697万円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金2906億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金250億円、債券発行による収入金599億8997万円および回収金等1988億5700万円を充当している。
また、46年度末における東京、名古屋および大阪の各中小企業投資育成株式会社に対する出資金残高は8億5900万円で、前年度末に比べて6500万円減少している。これは、38年に各会社が発行し中小企業金融公庫が引き受けた優先株式が、当該各会社の45営業年度利益処分により消却されたことによるものである。
環境衛生金融公庫からの受託業務においては、46年度中の貸付額は90億4332万円、回収額は36億6790万余円、年度末貸付金残高は239億5295万余円である。
46年度において、利益は、貸付金利息835億6270万余円等901億1138万余円、損失は、借入金利息460億2849万余円、債券利息194億3198万余円、業務委託費116億3108万余円、事務費47億2400万余円等滞貸償却引当金繰入前で866億6354万余円になり、差額34億4783万余円を全額滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入額は年度末貸付金残高の1000分の3.00に相当し、これを加えた滞貸償却引当金310億4237万余円は年度末貸付金残高の100分の2.70になり、累積限度額の45.06%になっている。
46年度の総収益率は8.04%で、前年度に比べて0.01%上昇している。滞貸償却引当金繰入前の経費率は7.69%で、前年度に比べて0.03%上昇している。 また、滞貸償却引当金繰入率は0.34%になり、前年度に比べて0.02%低下している。