(昭和47年11月30日付け47検第339号 日本航空機製造株式会社社長あて)
日本航空機製造株式会社では、毎営業年度YS−11型航空機の生産、整備、運航等に必要な多量の資材を購入しており、これら資材の評価損計上(昭和45、46両営業年度評価損合計額14億0844万余円)後の46営業年度末の在庫は83億3416万余円に達している。
しかして、47年中に、在庫の内容について検査したところ、次のとおり余剰となっているものが28億4144万余円見受けられた。
すなわち、営業用補用品(同航空機の顧客に販売する整備、運航等に必要な部品)のうち1品目50万円以上の在庫13億0459万余円について過去の払出実績等から今後の所要量を推計したところ、現在判明しているだけでも4億2870万余円が余剰品となっており、また、このほか、長期間にわたり全く払出しが行なわれていないものなど1億6992万余円が余剰品となっている。
このような事態を生じたのは、次のような理由によると認められる。
(ア) 合理的な購入を行なう機能が完全でなかったため在庫量および発注済未入荷量等を適確に把握しないまま発注していること
(イ) 相当数の同航空機が販売、運航された後においても、顧客別、機体各部別、品目別に飛行時間に応じた使用および払出しの実績を調査分析して調達基準を算定し、これによる購入を行なうなどの方途を講じていなかったこと
(ウ) 需要が不確定でかつ供給義務もない非販売権品目の部品については顧客が販売権保有業者から直接購入するようになってきているのに、同会社に常備する方針を継続していたこと
また、180機生産販売長期計画の最終30機分の生産用資材を購入するにあたっては、不良品の発生が多いなどの理由で所要量にさらに余裕量を付加したものを購入していたが、実際の使用量が予定を下回ったことにより10億2839万余円が余剰品となっている。さらに、関係官庁に対する所要の手続きをとらないまま前記長期計画終了時に予想される損失累計額の軽減などを意図して継続生産用資材を45、46両営業年度に購入したが、継続生産が行なわれないこととなったため、これらの資材12億1442万余円も余剰品となっている。なお、これらの余剰品については、47営業年度にその一部を購入価格より著しく低廉な価格で処分している状況である。
ついては、同会社では、今後長期間にわたりさらに相当量の営業用補用品を購入して顧客に対する供給を継続してゆく一方、余剰品の処理を行なう要があるが、上記のような事態をかえりみて、必要に応じ関係官庁との連絡をとりつつ、営業用補用品の購入については、在庫管理の適正化、適切な調達基準の策定を行なうとともに、販売権品目だけを保有する方針を講じて合理的かつ経済的な購入を図り、余剰品の処理については損害を最少限にとどめるような対策を講ずる要があると認められる。