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  • 昭和47年度|
  • 第2章 国の会計|
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  • 補助金

農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの


(95) 農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林本省 (項)農業振興費
部局等の名称 農林省、東北ほか5農政局 (注)
助成の根拠 農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)
事業主体 北海道ほか18県
事業の内容 農業者等に無利子で貸し付ける技術導入資金の貸付け
貸付先 農業者等76名
貸付額の合計 93,065,000円(国庫補助金相当額61,422,900円)

 上記の76名に対する93,065、000円の貸付けにおいて、34,295,733円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額22,635,163円が補助の目的に添わない結果になっていると認められる。
 これは、北海道ほか29県における貸付け53,107事項14,189,601,000円(うち昭和46年度分26,159事項6,310,525,000円)のうち659事項862,964,000円(うち46年度分490事項591,332,000円)について調査した結果である。
 これを道県別に集計して掲げると、別表 のとおりである。

(注)  東北、関東、北陸、近畿、中国四国、九州各農政局

(説明)

 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、農業経営の改善を図る技術の導入に必要な資金を農業者等に対して無利子で貸し付けるものである。この資金に充てるため、47年度には国庫補助金3,138,736,000円が交付されている。
 しかして、前記の30道県が行った貸付けの適否及び農業者等の貸付金使用の状況を本院が調査したところ、北海道ほか18県が行った貸付けのうち93,065,000円について、次のとおり不当と認められるものがあった。

貸付けの対象にならないものに貸し付けているもの 8事項 8,991,300円
借受け者が事業を実施していないもの 20事項 12,277,552円
借受け者が計画事業費より少額で事業を実施しているものなど 43事項 13,026,881円
71事項 34,295,733円

 このため、上記の貸付金34,295,733円に対する国庫補助金相当額22,635,163円が補助の目的に添わない結果になっていると認められた。

 
道県名 貸付金 左のうち調査したもの 不当貸付金
貸付けの対象にならないものに貸し付けているもの 事業を実施していないもの 計画事業費より少額で実施しているものなど
事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額

北海道

1,794
千円
714,500

17
千円
24,473

1
千円
1,890
  千円
 
  千円
 

1
千円
1,890
青森県 1,972 682,032 17 24,751         2 1,095 2 1,095
秋田県 1,955 480,874 22 25,852 1 1,170 2 1,064 1 292 4 2,526
山形県 1,313 618,054 58 120,657 1 488     1 193 2 681
茨城県 1,286 420,337 33 34,019     1 535 5 842 6 1,377
栃木県 2,454 571,060 55 60,874 1 235     7 2,223 8 2,458
群馬県 2,211 516,990 42 29,501      1 500 4 867 5 1,367
埼玉県 1,574 479,020 17 15,091         1 220 1 220
新潟県 1,945 789,445 27 44,507         2 375 2 375
長野県 1,066 327,677 33 26,937 1 630 7 4,200     8 4,830
静岡県 392 143,520 17 23,002         1 325 1 325
兵庫県 1,497 603,723 19 20,300 1 1,067         1 1,067
鳥取県 1,414 427,031 18 24,237         1 220 1 220
岡山県 3,595 720,239 20 22,039 1 571     1 310 2 881
広島県 2,627 544,359 14 15,190         2 488 2 488
長崎県 1,092 206,686 16 11,881         3 574 3 574
熊本県 1,704 508,797 6 7,233         1 192 1 192
宮崎県 1,954 315,611 26 26,183     6 3,544 7 3,220 13 6,764
鹿児島県 3,429 580,993 17 50,263 1 2,940 3 2,434 4 1,586 8 6,961
35,274 9,650,948 474 606,990 8 8,991 20 12,277 43 13,026 71 34,295

  検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

 (産業の保護奨励のために行う国有林材の売渡しについて)

 林野庁管下の各営林署では、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第99条第20号の規定により、木材資源の利用合理化の促進、輸出の振興等産業の保護奨励のため、木材関連産業を営む者に対し、国有林材を随意契約で売り渡しており、その昭和47年度における実績は、立木344万余m3 74億4387万余円、素材103万余m3 76億7425万余円、計151億1812万余円に上っている。
 しかして、上記について検査したところ、上記の売渡しのうちには、木材資源の利用合理化の技術が既に定着していたり、高い競争力を有する産業に発展していたりして、もはや格別の保護奨励の必要はなくなっていると認められる者が対象となっている事例が多数見受けられた。しかも、その売渡し価額をみると、同種材を一般競争契約によって売り渡している場合の価額に比べて相当低価となっている状況であった。
 このような状況からみて、前記の規定により随意契約で売渡しを行う対象を再検討する必要があると認められたので、当局の見解をただしたところ、林野庁では、保護奨励を必要とする産業の範囲を検討し、合板、楽器、造船(漁船を除く。)、パルプ等の産業については、48年度から、随意契約による売渡しを廃止又は縮小することとした。