会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)建設本省 | (項)急傾斜地崩壊対策事業費(項)都市計画事業費(項)河川等災害復旧事業費(項)河川等災害関連事業費 |
道路整備特別会計 | (項)道路事業費(項)街路事業費(項)首都圏道路整備事業費 | ||
治水特別会計(治水勘定) | (項)砂防事業費 | ||
部局等の名称 | 北海道ほか25府県 | ||
補助の根拠 | 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)、道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)等 | ||
事業主体 | 府県18、市町村17計35事業主体 | ||
補助事業 | 北海道上川郡鷹栖町15号川46年災害復旧工事等43工事 | ||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 378,975,137円 |
上記の43補助事業において、工事の監督及び検査が適切でなかったため施工が設計と相違していたり、設計内容の審査が的確に行われていなかったため工事の設計が過大になっていたりしていて、国庫補助金42,274,260円(一部未交付分を含む。)が不当と認められる。このうち、8,030,665円は道路整備特別会計の分(10工事)、11,035,404円は治水特別会計治水勘定の分(9工事)である。
これは、北海道ほか36都府県で全国の工事箇所156,690のうち4.6%に当たる7,199(工事費184,657,772,019円、国庫補助金104,815,692,650円)について検査した結果である。
これを道府県別に掲げると、別表
のとおりである。
(説明)
この補助金は、公共土木施設の新設、改良及び災害復旧等の公共事業を行う地方公共団体に交付されるものである。
しかして、前記の35事業主体においては、工事の監督及び検査が適切でなかったため工事が設計どおり施工されなかったのに設計どおり施工されたとして処理したり、橋りょう工事の高欄の設計が過大になったりなどしていた。
いま、前記の43工事について不当の態様別に説明すると次のとおりである。
1 工事の施工が設計と相違しているもの
(1) コンクリート工事について | ||
砂防えん堤の本体や水たたき及び河川の護岸擁壁、底張り等の施工に当たって、多量の水を使用したり、締め固めが十分でなかったりしたなどのため強度が低くなっているものなど | ||
18工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 23,621,136円 |
(2) コンクリートブロック積み及び石垣工事について | ||
護岸のコンクリートブロック積み及び石垣の胴込め、裏込めコンクリートの施工に当たって、多量の水や砂を使用したため強度が低くなっているもの、練り混ぜやつき固めが十分でなかったためモルタルと粗骨材が分離しているものなど | ||
16工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 13,035,344円 |
(3) その他 | ||
下水道管布設後の埋めもどし及び路面復旧の施工に当たって、路盤や表層の厚さを設計より少なく施工しているものなど | ||
4工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 2,039,280円 |
2 工事の設計が過大になっているもの
橋りょう新設工事の施行に当たって、高欄の延長の表示を誤ったためその設計が過大になっているもの、道路改良工事の施行に当たって、横断面積の計算を誤ったため切土の設計が過大になっているものなど
5工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 3,578,500円 |
道府県名 | 工事 | 事業主体 | 工事費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた工事費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(131) |
北海道 |
上川郡鷹栖町15号川46年災害復旧 |
鷹栖町 |
千円 3,363 |
千円 2,690 |
千円 782 |
千円 625 |
護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(132) | 青森県 | 青森市堤川災害助成 | 青森県 | 5,626 | 2,813 | 764 | 382 | 同 |
(133) | 秋田県 | 仙北郡協和町淀川46年災害復旧 | 秋田県 | 6,150 | 4,102 | 700 | 466 | 護岸の捨て石工事の施工不良 |
(134) | 同 | 仙北郡西木村一般国道105号線道路改良 | 同 | 34,167 | 25,625 | 1,052 | 789 | 掘削工事の切土量の設計過大 |
(135) | 同 | 北秋田郡比内町味噌内川45年災害復旧 | 比内町 | 2,080 | 1,387 | 539 | 359 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
秋田県計 | 42,397 | 31,114 | 2,291 | 1,615 | ||||
(136) | 茨城県 | 西茨城郡七会村大谷原川通常砂防 | 茨城県 | 8,400 | 5,600 | 693 | 462 | 同 |
(137) | 同 | 那珂郡東海村村道石神外宿原電線街路築造 | 東海村 | 32,554 | 21,702 | 758 | 505 | 土留め及び路側のコンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
茨城県計 | 40,954 | 27,302 | 1,451 | 967 | ||||
(138) | 栃木県 | 今市市一般国道121号線砥川橋新設 | 栃木県 | 33,146 | 24,860 | 1,448 | 1,086 | 高欄工事の延長の設計過大 |
(139) | 群馬県 | 多野郡鬼石町町道大内平線道路改良 | 鬼石町 | 9,670 | 6,446 | 2,319 | 1,546 | 路側コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(140) | 新潟県 | 上越市儀明川通常砂防 | 新潟県 | 14,025 | 9,350 | 530 | 353 | えん堤の水たたき及び側壁のコンクリート工事の施工不良 |
(141) | 同 | 中魚沼郡津南町信濃川47年災害復旧 | 同 | 8,605 | 5,739 | 6,205 | 4,138 | 護岸練り積み石垣工事の施工不良 |
新潟県計 | 22,630 | 15,089 | 6,735 | 4,492 | ||||
(142) | 山梨県 | 韮崎市一般国道141号線歩道新設 | 山梨県 | 7,611 | 3,805 | 868 | 434 | 歩、車道境界ブロック工事のモルタル量の設計過大 |
(143) | 山梨県 | 甲府市北新町下水道新設 | 甲府市 | 8,803 | 3,521 | 984 | 393 | 下水管布設後の路盤工事の出来高不足及び施工不良 |
山梨県計 | 16,414 | 7,326 | 1,852 | 827 | ||||
(144) | 愛知県 | 愛知郡日進町三本木川通常砂防 | 愛知県 | 13,200 | 8,800 | 730 | 486 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(145) | 同 | 知多郡南知多町県道岩屋観音線特殊改良 | 同 | 12,554 | 6,277 | 1,606 | 803 | 函きょの鉄筋コンクリート工事の施工不良 |
(146) | 同 | 豊田市篭川47年災害復旧 | 同 | 5,447 | 3,633 | 1,140 | 760 | 護岸コンクリートブロック張り工事の施工不良 |
(147) | 同 | 岡崎市鉢地川46年災害復旧 | 岡崎市 | 6,100 | 4,068 | 1,021 | 681 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(148) | 同 | 蒲郡市尺地川46年災害復旧 | 蒲郡市 | 8,469 | 5,649 | 957 | 638 | 同 |
愛知県計 | 45,771 | 28,428 | 5,454 | 3,369 | ||||
(149) | 三重県 | 阿山郡阿山町鞆田川46年災害復旧 | 三重県 | 3,700 | 2,475 | 692 | 462 | 底張り及び床止めのコンクリート工事の施工不良 |
(150) | 滋賀県 | 彦根市一般国道306号線道路改良 | 滋賀県 | 24,970 | 18,727 | 704 | 528 | 土留めコンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(151) | 大阪府 | 豊能郡能勢町山辺川通常砂防 | 大阪府 | 16,379 | 10,919 | 1,026 | 684 | えん堤の水たたき及び護床のコンクリート工事の施工不良 |
(152) | 兵庫県 | 神戸市山田川47年災害復旧 | 兵庫県 | 3,810 | 2,541 | 854 | 569 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(153) | 同 | 多紀郡今田町四斗谷川47年災害復旧 | 同 | 2,040 | 1,360 | 624 | 416 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良及び出来高不足 |
兵庫県計 | 5,850 | 3,901 | 1,478 | 985 | ||||
(154) | 奈良県 | 御所市稲宿川46年災害復旧 | 御所市 | 5,660 | 3,775 | 2,103 | 1,402 | 護岸擁壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良 |
(155) | 鳥取県 | 東伯郡東伯町東川通常砂防 | 鳥取県 | 27,999 | 18,666 | 1,185 | 790 | えん堤水たたき及び底張りのコンクリート工事の施工不良 |
(156) | 同 | 東伯郡羽合町宇野地区急傾斜地崩壊対策 | 同 | 6,808 | 3,404 | 780 | 390 | 土留めコンクリートブロック練り積み工事の設計過大 |
鳥取県計 | 39,808 | 22,070 | 1,965 | 1,180 | ||||
(157) | 島根県 | 八束郡八雲村上谷川通常砂防 | 島根県 | 18,348 | 12,232 | 495 | 330 | えん堤の水たたきコンクリート工事の施工不良 |
(158) | 岡山県 | 備前市鳴滝川46年災害復旧 | 備前市 | 5,400 | 3,601 | 673 | 448 | 底張り及び護岸擁壁のコンクリート工事の施工不良 |
(159) | 広島県 | 深安郡加茂町江谷川砂防47年災害復旧 | 広島県 | 5,367 | 4,170 | 2,554 | 1,984 | えん堤の水たたきコンクリート工事の施工不良 |
(160) | 山口県 | 下松市切山川47年災害復旧 | 下松市 | 5,800 | 3,868 | 988 | 658 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(161) | 同 | 佐波郡徳地町町道下出合釣山線47年災害復旧 | 徳地町 | 1,324 | 1,302 | 648 | 637 | 土留めコンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
山口県計 | 7,124 | 5,171 | 1,636 | 1,296 | ||||
(162) | 徳島県 | 三好郡西祖谷山村境谷通常砂防 | 徳島県 | 6,710 | 4,473 | 741 | 494 | 流路底張り及び落差工水たたきのコンクリート工事の施工不良 |
(163) | 愛媛県 | 松山市久谷川46年災害復旧及び通常砂防 | 愛媛県 | 26,741 | 17,827 | 1,281 | 854 | 床止めのえん体及び水たたきのコンクリート工事の施工不良 |
(164) | 同 | 西宇和郡保内町宮内川通常砂防 | 同 | 80,520 | 53,680 | 9,908 | 6,605 | えん堤本体及び護岸擁壁のコンクリート工事の施工不良 |
愛媛県計 | 107,262 | 71,508 | 11,189 | 7,459 | ||||
(165) | 福岡県 | 鞍手郡鞍手町県道直方宗像線舗装新設 | 福岡県 | 32,761 | 21,840 | 626 | 417 | 土留め擁壁コンクリート工事の施工不良 |
(166) | 熊本県 | 菊池市大野谷川47年災害復旧 | 菊池市 | 11,968 | 9,837 | 770 | 632 | 護岸擁壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良 |
(167) | 同 | 下益城郡小川町筒田川46年災害復旧 | 小川町 | 11,478 | 11,363 | 722 | 714 | 床止めの水たたき及び側壁のコンクリート工事の施工不良 |
熊本県計 | 23,446 | 21,200 | 1,492 | 1,347 | ||||
(168) | 大分県 | 別府市朝見下水道新設 | 別府市 | 6,363 | 2,545 | 1,046 | 418 | 下水管布設後のアスファルト舗装工事の施工不良 |
(169) | 宮崎県 | 北諸県郡山之口町山之口運動公園施設新設 | 山之口町 | 20,307 | 10,153 | 1,759 | 879 | 陸上競技場の排水施設等工事の設計過大及び出来高不足 |
(170) | 鹿児島県 | 出水市鍋野川47年災害復旧 | 鹿児島県 | 7,407 | 5,009 | 591 | 399 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 |
(171) | 同 | 鹿児島市市道竹迫線道路改良 | 鹿児島市 | 4,169 | 2,779 | 1,402 | 934 | 路側擁壁コンクリート工事の施工不良 |
(172) | 鹿児島県 | 鹿児島市市道武田上地区4-48号ほか3線側溝新設 | 鹿児島市 | 2,437 | 1,624 | 1,481 | 987 | 側こうコンクリート工事の施工不良 |
(173) | 同 | 姶良郡姶良町上脇川46年災害復旧 | 姶良町 | 5,299 | 4,721 | 5,299 | 4,721 | 護岸擁壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良 |
鹿児島県計 | 19,312 | 14,135 | 8,773 | 7,043 | ||||
合計 | 568,740 | 378,975 | 62,048 | 42,274 |
検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。
東北ほか7地方建設局(注1)
が昭和47年度に施行した志津川道路舗装工事ほか206件のアスファルト舗装工事について検査したところ、東北、中部、近畿各地方建設局で施行した57工事(舗設費合計2億7584万円)においては、舗装に使用するアスファルト合材(注2)
(以下「合材」という。)について、業者が所有している既設のアスファルトプラントで生産し、又は現場周辺所在の建設業者又は合材販売業者のプラントで生産したものを購入するものとして積算していて、比較的大規模なプラントから多量の合材が供給されるのに、舗設費については、これを下回る比較的小規模なプラントの合材供給量を基礎として積算しているため、積算額が過大になり、ひいては工事費が割高になっていると認められた。
このような事態を生じたのは、近年、プラントの設置に伴う公害等のため、工事施工の都度プラントを新設することが困難な場合が多くなり、合材を販売業者から購入したり、請負業者等が保有している比較的大規模な既設のプラントで生産されるものを使用したりする場合が増加しているのに、積算基準の見直しが十分でなく、工事施工の都度請負人が比較的小規模なプラントを新設することを前提としているなど施工の実態に即さなくなっていること、各地方建設局における運用の際の配慮が十分でないことによると認められたので、当局の見解をただしたところ、建設省では、48年10月、積算基準を改定し、施工の実情に適合した舗設費を積算するよう処置を講じた。
(注1) 東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方建設局
(注2) アスファルト合材 アスファルトと骨材の混合物。舗装の材料として使用される。