(概況)
昭和47年11月から48年10月までの間に、所管庁から出納職員の現金亡失についての報告を受理したものは、129件54,084,558円である。これに繰越し分10件11,550,868円を加え、処理を要するものは139件65,635,426円であり、そのうち上記の期間内に処理をしたものは126件47,234,693円である。
処理を要するもの及び処理をしたものの所管別内訳は次表のとおりである。
処理をしたもののうち、出納職員に弁償責任があると検定したものは2件3,672,572円、出納職員に弁償責任がないと検定したものは8件4,771,788円である。その他の116件38,790,333円は、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が既に補てんされているもの99件30,979,043円、出納職員がその保管にかかわる現金を亡失した場合に該当しないと認めたもの13件4,184,757円、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額について国と出納職員との間に裁判上の和解が成立しているもの3件3,386,533円などである。
(検定したものの説明)
弁償責任があると検定したものは郵政省の2件3,672,572円で、その概要は次のとおりである。
大阪(現近畿)郵政局管内住吉郵便局出納員橋口某が、昭和45年12月4日から46年10月19日までの間に、局外で集金した簡易生命保険保険料等1,671,390円を領得したもの、及び東京(現関東)郵政局管内平塚郵便局出納員石原某が、46年12月9日から47年2月18日までの間に、積立郵便貯金居宅払金及び局外で集金した定額郵便貯金預入金等計2,001,182円を横領したものである。
次に、弁償責任がないと検定したものは、厚生省の1件582,195円、郵政省の6件4,155,842円及び労働省の1件33,751円である。これらは、航空事故により保管していた現金を焼失したもの、金庫が破壊され保管していた現金を窃取されたもの、及び凶器を所持した賊に脅迫され保管していた現金を強取されたものなどで、いずれも出納職員として善良な管理者の注意を怠ったことによるものでないと認めたものである。