昭和47年度の貸付計画は、当初4730億円であったが、その後の改定により4880億円となった。これに対し、貸付実行額は前年度までの計画に基づいて47年度に貸し付け実行した分を含め4605億4000万円で、前年度に比べて354億0100万円増加している。
貸付実行額を貸付種類別にみると、その主なものは次のとおりである。
エネルギー | 568億3600万円 | |
海運 | 1355億5100万円 | |
産業開発 | 475億6000万円 | |
都市開発 | 752億4000万円 | |
地方開発 | 740億7000万円 | |
公害防止 | 421億5300万円 |
このうち、前年度に比べて増減の著しいものは、海運(202億7800万円増)、エネルギー(179億6000万円増)、公害防止(178億8300万円増)、産業開発(369億2000万円減)である。なお、47年4月に既往貸付け分を含めて基準利率を年8.2%から年8.0%に引き下げ、更に、同月以降の貸付け分については8月から年7.7%に引き下げている。
貸付実行額から回収額2052億1004万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は2553億2995万余円であり、年度末貸付金残高は2兆3242億5801万余円(うち外貨貸付金291億4408万余円)となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は207億3923万余円(うち1年以上延滞のものは198億8616万余円)で、前年度末に比べて4億3634万余円増加(1年以上延滞のものでは3億7642万余円減少)している。上記の元金延滞額のうち178億5287万余円は石炭鉱業に対するもので、前年度末に比べて3億9347万余円増加している。
石炭鉱業に対する貸付けについては、石炭鉱業再建整備臨時措置法(昭和42年法律第49号)に基づいて会社が国から交付を受ける元利補給金及び再建交付金により貸付金の一部について弁済を受けることになっている。日本開発銀行が47年度中にこれらの補給金等により弁済を受けた貸付金元本は40億8700万余円で、年度末の石炭鉱業に対する貸付金残高793億7961万余円のうち、補給金等により弁済を受けることになっているものは538億4217万余円である。また、上記の貸付金残高のうち、129億4398万余円は、会社が石炭の生産事業を廃止したことにより当初予定した補給金等による弁済を受けられなくなったものである。
また、海運業に対する貸付けについては、海運業の再建整備に関する臨時措置法(昭和38年法律第118号)に基づいて日本開発銀行が47年度中に会社から支払を受けた猶予利子の額は12億0102万余円で、猶予利子の年度末残高は258億3906万余円となっている。
47年度中の資金交付額は4587億1400万円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金3525億円及び回収金等1062億1400万円を充当している。
47年度において外貨債務を保証した額は、電力938億0825万余円、航空93億4059万円計1031億4884万余円、減少した保証債務額は359億0573万余円で、年度末保証債務(支払承諾)残高は3369億1488万余円となっている。
47年度において、利益は、貸付金利息1635億2045万余円等1704億0571万余円、損失は、借入金利息1138億1082万余円、事務費45億1255万余円、外貨債券利息18億3140万余円、特別納付金12億0102万余円等貸倒準備金繰入れ前で1391億8270万余円となり、312億2301万余円の差額が生じるが、56億4426万余円を貸倒準備金に繰り入れたので、利益金は255億7874万余円になった。このうち162億6980万余円は法定準備金として積み立て、残額93億0893万余円は国庫に納付した。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の2.46に相当し、これを加えた貸倒準備金608億0293万余円は年度末貸付金残高の100分の2.65となり、累積限度額の88.37%になっている。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高の1,000分の10相当額以内の金額、その累積限度額は年度末貸付金残高の100分の3相当額と定められているが、47年度の繰入れ額は大蔵大臣の指示により上記の累積限度額から80億円を控除した金額まで繰り入れることとして計算したものである。これは、日本開発銀行の国庫納付金等特定収入をもって米国対日援助債務の返済を行うことにしている政府の方針によるものである。
47年度の利益金255億7874万余円は前年度に比べて59億0513万余円減少している。また、法定準備金の積立額162億6980万余円は前年度に比べて17億8730万余円増加しており、国庫納付金93億0893万余円は前年度に比べて76億9244万余円減少している。
47年度の総収益率は6.89%で、前年度に比べて0.39%低下している。これは、前年度においては外貨債券の評価替えによる評価益を生じたり、未収貸付金利息計上に関する経過措置による利息収入の増加があったりしたが、47年度はこれらがなかったことなどによるものである。貸倒準備金繰入れ前の経費率は5.42%で、貸付けの原資に占める借入金の構成割合が増加したことにより前年度に比べて0.07%上昇している。また、貸倒準備金繰入れ前の利益率は1.46%となり、前年度に比へて0.46%低下している。