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  • 昭和48年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (科学技術庁)|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

委託事業により取得した物品の管理について処置を要求したもの


委託事業により取得した物品の管理について処置を要求したもの

(昭和49年11月16日付け49検第346号 科学技術庁長官あて)

 科学技術庁では、原子力平和利用研究等の試験研究を民間団体等に委託する場合、委託事業の実施過程で受託者が取得した物品のうち機械器具類については、委託事業が完了した後にその所有権を国に移転させることとしている。
 しかして、これらの物品については、所有権移転後利用処分決定までの間受託者に引き続いて保管させており、その数量は、48年度末現在、1点50万円(取得価格)以上のものだけでも389点12億2333万余円に上っていて、なかには37年度以降引き続き保管させているものもあるが、これらの物品のうち129点2億5672万余円についてその保管状況を実地に調査したところ、次のとおり、物品の管理が適切でないと認められるものが59点1億3141万余円見受けられた。

ア 受託者が国に無断で使用しているもの

ミニコンピュータほか31点

8373万余円

イ 現在使用可能であり、受託者が貸付け又は払下げを希望していたのに、そのまま保管させているもの

分光光電光度計ほか10点

2149万余円

ウ 受託者が貸付け又は払下げを希望していたのに、そのまま保管させていたため、現在では使用不可能となっているもの

ヨウ素化合物実験装置ほか15点

2618万余円

 更に、上記の物品を含めて、現在受託者に保管させている物品のなかには、同庁の附属研究機関等が実施している試験研究等に利用できるものがあると認められる。
 このような事態を生じたのは、同庁において、この種物品の実情をは握し適正な運用を図るという配慮が十分でなかったため、関係部局間で保管物品の利活用についての連絡協議を十分行っていなかったり、受託者から取得物品の利用、処分等の計画を提出させていながらこれを十分に活用していなかったりしていたことなどによると認められる。
 ついては、前記の59点を含め現在受託者が保管中の物品について実態を調査の上必要に応じて速やかに適切な処置を講ずるとともに、今後同種の事態が再発しないよう関係部局間の連絡を十分行うこととするなど適切な処置を講ずる要があると認められる。