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  • 昭和48年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(28)−(58) 公共事業関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林本省 (項)土地改良事業費 (項)農用地開発事業費 (項)農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業費 (項)農業施設災害復旧事業費 (項)農業施設災害関連事業費 (項)北海道農用地開発事業費 (項)離島振興事業費
(組織)林野庁 (項)山林施設災害復旧事業費
国有林野事業特別会計 (治山勘定)(項)治山事業費
部局等の名称 農林省、林野庁、東北ほか6農政局(注)
補助の根拠 土地改良法(昭和24年法律第195号)、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等
事業主体 都府県6、市町村17、その他7 計30事業主体
補助事業 北海道中川郡豊頃町46豊頃地区草地開発事業草地造成等31工事
上記に対する国庫補助金交付額の合計 253,710,742円

 上記の31補助事業において、工事の設計が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、工事費を過大に精算したりなどしていて、国庫補助金50,793,317円(一部未交付分を含む。)が不当と認められる。
 これは、北海道ほか38都府県で全国の工事箇所96,162のうち4.8%に当たる4,704(工事費81,700,731,876円、国庫補助金48,187,772,263円)について検査した結果である。
 これを都道府県別に掲げると、別表 のとおりである。

 (注)  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局

(説明)
 この補助金は、土地改良、治山施設及び災害復旧等の公共事業を行う地方公共団体、土地改良区、農業協同組合等に交付されるものである。
 しかして、前記の30事業主体においては、工事の設計が適切でなかったため施工した構造物が不安定な状態になっていたり、監督及び検査が適切でなかったため工事が設計どおり施工されなかったのに設計どおり施工されたとして処理したり、実際の工事費より多額な工事費を要したことにして精算したりなどしていた。
 いま、前記の31工事について不当の態様別に説明すると次のとおりである。

1 工事の設計が適切でないもの

 土留め擁壁の設計に当たって、土圧、高さなどについての配慮が十分でなかったため、構造物が既に崩壊したり、押し出されて不安定となっていたりしているもの

3工事 不当と認めた国庫補助金 5,918,001円

2 工事の施工が設計と相違しているもの

(1) コンクリート工事について

 水路、谷止め等の施工に当たって、多量の水や砂を使用したり、締め固めや養生が十分でなかったり、ずい道の覆工コンクリートの巻厚が不足していたりしたなどのため、強度が低くなっているものなど

20工事 不当と認めた国庫補助金 34,269,267円

(2) その他

 湖岸堤防等の施工に当たって、護岸の天端高を設計高より低く施工しているため効用が減殺されているものなど

4工事 不当と認めた国庫補助金 6,322,748円

3 工事費を過大に精算しているものなど

 ほ場整備工事等の施工に当たって、実際に要した費用より多額な工事費を要したことにして精算しているものなど

4工事 不当と認めた国庫補助金 4,283,301円

 

都道府県名 工事 事業主体 工事費 左に対する国庫補助金 不当と認めた工事費 不当と認めた国庫補助金 摘要
千円
千円
千円
千円
(28)北海道 中川郡豊頃町46豊頃地区草地開発事業草地造成 豊頃町農業協同組合 13,997 6,965 1,050 524 工事費の精算過大
(29)青森県 上北郡六ヶ所村第2戸鎖水路48年災害復旧 六ヶ所村 1,512 1,377 1,151 1,048 側壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良
(30) 同 西津軽郡鯵ヶ沢町第1葛ヶ沢水路47年災害復旧 鯵ヶ沢町 2,665 2,638 2,665 2,638 護岸擁壁コンクリート工事の施工不良
(31) 同 西津軽郡深浦町第3津山水路47年災害復旧 深浦町 9,580 9,350 1,454 1,419 土留め擁壁コンクリート工事の施工不良
青森県計 13,757 13,365 5,270 5,106
(32)宮城県 登米郡登米町登米吉田地区かんがい排水 宮城県 49,400 24,700 14,723 7,361 ずい道工事の施工不良
(33) 同 黒川郡大衡村大衡地区農業公社牧場設置事業家畜保護施設設置 社団法人宮城県畜産開発公社 49,776 20,158 2,160 864 補助の対象外
(34) 同 柴田郡川崎町川崎地区畜産団地造成事業道路開設 仙台酪農農業協同組合 23,076 7,457 1,920 864 土留め及び路側のコンクリートブロック練り積み工事の施工不良
宮城県計 122,252 52,315 18,803 9,089
(35)秋田県 由利郡由利町西由利原地区農業公社牧場設置事業家畜保護施設設置 社団法人秋田県畜産開発公社 39,500 15,800 2,838 1,135 家畜避難舎建築工事の施工不良
(36)千葉県 東葛飾郡沼南町泉1期地区湖岸堤防 千葉県 22,581 11,290 7,237 3,618 護岸及び盛土工事の施工不良
(37)東京都 八王子市林道醍醐線47年災害復旧 東京都 2,310 1,750 1,875 1,421 路側擁壁コンクリート工事の施工不良
(38) 同 八王子市宇津貫農道47年災害復旧 八王子市 6,050 5,723 1,517 1,435 路側コンクリートブロック練り積み工事の施工不良
東京都計 8,360 7,474 3,392 2,856
(39)富山県 東砺波郡井波町北市三清地区ほ場整備 高瀬土地改良区 96,000 43,200 2,101 945 工事費の精算過大
(40)山梨県 東山梨郡三富村三富地区道路等補修事業道路補修 山梨県 5,649 3,766 1,058 705 コンクリート舗装工事の施工不良
(41)長野県 下伊那郡豊丘村南平地区農道整備 豊丘村 12,450 6,225 1,339 669 土留めコンクリートブロック空積み工事の設計不適切
(42)三重県 鈴鹿市小谷地区農地開発事業畑地造成 受益者共同施工 43,846 24,115 3,544 1,948 補助の対象外
(43)大阪府 大東市北条城ヶ谷地内復旧治山 大阪府 14,600 9,733 2,652 1,768 谷止めのえん体コンクリート工事の施工不良
(44) 同 大東市箕谷水路47年災害復旧 大東市 2,540 2,385 704 661 側壁コンクリート工事の施工不良
大阪府計 17,140 12,118 3,357 2,430
(45)兵庫県 神戸市山田地区農道47年災害復旧 神戸市 6,244 5,894 790 746 コンクリートブロック法(のり)わく工事の施工不良
(46) 同 宍粟郡山崎町高所地区農林漁業用揮発油税財源身替農道整備 山崎町 17,294 11,529 1,120 747 水路の側壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良
兵庫県計 23,538 17,423 1,910 1,493
(47)山口県 柳井市長野浴水路47年災害関連 柳井市 2,180 1,654 2,180 1,654 側壁コンクリート工事の施工不良
(48) 同 熊毛郡熊毛町五郎丸水路47年災害復旧 熊毛町 1,184 1,094 709 655
山口県計 3,364 2,748 2,889 2,310
(49)香川県 三豊郡仁尾町北草木地区農道整備 仁尾町 8,690 2,896 2,467 822 アスファルト舗装工事の施工不良
(50)愛媛県 今治市神宮樽坂水路47年災害復旧 今治市 2,300 2,191 668 637 側壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良
(51)高知県 室戸市林道河内線46年災害復旧(第7工区) 室戸市 5,178 4,779 1,496 1,381 土留め擁壁及び橋台のコンクリート工事の施工不良
(52) 同 室戸市林道河内線46年災害復旧(第9工区)  同 2,286 2,109 1,021 942
高知県計 7,464 6,889 2,517 2,323
(53)福岡県 甘木市真竹地内予防治山 福岡県 8,506 5,670 7,172 4,781 谷止めのえん体コンクリート工事の施工不良
(54) 同 粕屋郡志免町松ヶ上水路48年災害復旧 志免町 3,706 3,609 784 764 底張りコンクリート工事の施工不良
福岡県計 12,212 9,280 7,957 5,546
(55)宮崎県 北諸県郡山之口町永野地区農道46年災害復旧 山之口町 4,700 4,422 4,700 4,422 路側擁壁工事の設計不適切
(56) 同 西臼杵郡五ヶ瀬町川曲水路46年災害復旧 五ヶ瀬町 6,887 6,280 2,520 2,298 土留め擁壁コンクリート工事の施工不良
(57) 同 西臼杵郡高千穂町第2管木平水路47年災害復旧 高千穂町 1,156 1,080 1,156 1,080 側壁及び底張りのコンクリート工事の施工不良
宮崎県計 12,743 11,784 8,376 7,802
(58)鹿児島県 西之表市国上地区農道整備 西之表市土地改良区 7,721 3,860 1,651 825 路側コンクリートブロック練り積み工事の設計不適切
合計 473,564 253,710 78,434 50,793

(59)−(86) 公共事業関係を除く補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林本省 (項)農業構造改善対策費 (項)農業振興費 (項)農業改良普及事業費補助 (項)蚕糸園芸振興費
部局等の名称 農林省、東北ほか4農政局(注)
事業主体 土地改良区1、農業協同組合9、その他16計26事業主体
補助事業 北海道虻田郡ニセコ町ニセコ近藤地区農業構造改善事業等28事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 780,428,026円

 上記の28補助事業において、補助の目的を達していなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、事業費を過大に精算していたりなどしていて、国庫補助金41,371,148円が不当と認められる。
 これは、北海道ほか33県等で農業構造改善事業費補助金に重点を置き、これに畜産、園芸等の事業に対する各種の国庫補助金を合わせた38費目29,227,331,345円について検査した結果である。
 これを事業別、都道県別に掲げると、別表のとおりである。

(注)  東北、関東、近畿、中国四国、九州各農政局

(説明)
 この補助金は、公共事業関係を除く農地整備、農地造成、農業施設の整備及び農業機械の購入等の事業を行う市町村、土地改良区、農業協同組合等に交付されるものである。
 しかして、前記の26事業主体においては、事業の実施に当たって、補助事業の認識が十分でなかったため、補助事業で導入した施設等が補助目的達成のために役立っていなかったり、工事が設計どおり施工されなかったのに設計どおり施工されたとして処理したり、実際の事業費より多額な事業費を要したことにして精算したりなどしていた。
 いま、前記の28事項を不当の態様別に示すと次のとおりである。

補助の目的を達していないと認められるものなど
6事項 不当と認めた国庫補助金

15,132,444円

工事の施工が設計と相違しているもの
5事項 不当と認めた国庫補助金

3,973,712円

事業費を過大に精算しているもの
17事項 不当と認めた国庫補助金

22,264,992円

 

都道県名 事業内容 事業主体
(所在地)
事業費 左に対する国庫補助金 不当と認めた事業費 不当と認めた国庫補助金

摘要

千円
千円
千円
千円
(農業構造改善事業)
(59)北海道 トラクタ等 羊栄・東トラクター利用組合(虻田郡ニセコ町) 11,924 5,962 11,924 5,962 補助の目的を達していないもの
(60)青森県 りんご園定置配管施設 新屋共同防除組合(南津軽郡平賀町) 14,681 7,267 6,598 3,266 補助の対象外及び事業費の精算過大
(61)岩手県 トラクタ 上郷農業機械利用組合(稗貫郡石鳥谷町) 9,749 4,874 3,127 1,562 補助の目的を達していないもの
(62)秋田県 大規模もみ乾燥調製貯蔵施設 大館市農業協同組合(大館市) 152,950 76,424 2,248 1,123 ピット工事の施工不良
(63)埼玉県 乳牛舎 久長酪農団地組合(秩父郡吉田町) 45,059 22,369 2,044 1,014 事業費の精算過大
(64)千葉県  同 農事組合法人大井酪農団地組合(安房郡丸山町) 95,535 47,767 3,713 1,856
(65) 同 花きハウス等 三芳村農業協同組合(安房郡三芳村) 287,374 143,687 5,939 2,969
(66) 同 野菜ハウス 山武農業協同組合(山武郡九十九里町) 111,999 55,999 2,500 1,249
(67)山梨県  同 農事組合法人今福フアーストハウス組合(中巨摩郡田富町) 50,648 25,324 3,291 1,645
(68) 同  同 農事組合法人藤巻西ハウス組合(中巨摩郡田富町) 43,678 21,839 2,780 1,390
(69) 同  同 農事組合法人藤巻東ハウス組合(中巨摩郡田富町) 55,743 27,871 1,840 920
(70)鳥取県 鶏舎等 東伯町農業協同組合(東伯郡東伯町) 299,550 149,775 1,603 801
(71)島根県 野菜ハウス 瑞穂町農業協同組合(邑智郡瑞穂町) 26,484 13,242 1,078 539
(72)高知県  同 野市町農業協同組合(香美郡野市町) 98,989 49,494 4,242 2,120
(73)福岡県 ほ場整備 志摩町土地改良区(糸島郡志摩町) 111,041 55,520 3,318 1,658
(稲作転換促進対策事業)
(74)秋田県 りんご園防風網 十和田稲転果樹植栽組合(鹿角市) 15,805 7,902 4,148 2,073
(75)山形県 花き育苗ハウス 有限会社和光農園(最上郡大蔵村) 4,637 2,318 4,637 2,318 補助の目的を達していないもの
(76) 同 花き集出荷貯蔵施設 有限会社和光農園(最上郡大蔵村) 7,640 3,820 1,156 578 土間及び基礎のコンクリート工事の施工不良
(77)埼玉県 梨栽培棚等 陦岡幸水団地(南埼玉郡白岡町) 9,494 4,709 1,140 531 事業費の精算過大
(78)千葉県 乳牛舎 千倉町酪農組合(安房郡千倉町) 16,247 8,036 2,564 1,194
(79)兵庫県 トラクタ 五色丘酪農鳥飼浜支部(津名郡五色町) 1,278 639 1,278 639 補助の目的を達していないもの
(80)福岡県 ほ場整備等 波多江第2飼料生産組合(糸島郡前原町) 23,047 11,523 1,563 781 事業費の精算過大
(81)大分県 野菜育苗ハウス 大野町農業協同組合(大野郡大野町) 2,769 1,384 2,769 1,384 補助の目的を達していないもの
(農村青少年研修教育事業)
(82)東京都 野菜ハウス 財団法人農民教育協会(北区) 11,200 11,200 732 732 基礎コンクリート工事の施工不良
(青果物等生産流通対策事業)
(野菜生産対策)
(83)長野県 たいきゅう肥造成施設 野辺山開拓農業協同組合(南佐久郡南牧村) 1,680 560 1,680 560 たい肥盤のコンクリート工事の施工不良
(高能率生産団地育成事業)
(果樹栽培省力化促進)
(84)広島県 スプリンクラ施設 大谷地区営農組合(豊田郡瀬戸田町) 40,208 13,402 2,750 916 事業費の精算過大
(露地野菜生産モデル団地設置)
(85)佐賀県 暗きょ排水 杵島農業協同組合(杵島郡江北町) 12,815 6,400 1,215 600
(畑作地域集団営農パイロット)
(86)長野県 たいきゅう肥造成施設 野辺山開拓農業協同組合(南佐久郡南牧村) 3,360 1,120 2,940 980 たい肥盤のコンクリート工事の施工不良

1,565,587 780,428 84,825 41,371

  (87) 農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林本省 (項)農業振興費
部局等の名称 東北ほか5農政局(注)
助成の根拠 農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)
事業主体 青森ほか13県
事業の内容 農業者等に無利子で貸し付ける技術導入資金の貸付け
貸付先 農業者等37名
貸付額の合計 37,941,000円(国庫補助金相当額25,041,060円)

 上記の37名に対する37,941,000円の貸付けにおいて、14,248,340円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額9,403,895円が補助の目的に添わない結果になっていると認められる。
 これは、北海道ほか33県における貸付け58,911事項18,948,401,000円(うち昭和47年度分32,139事項9,669,878,000円)のうち557事項795,004,000円(うち47年度分441事項547,842,000円)について調査した結果である。
 これを県別に集計して掲げると、別表 のとおりである。

 (注)  東北、関東、北陸、近畿、中国四国、九州各農政局

(説明)
 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、農業経営の改善を図る技術の導入に必要な資金を農業者等に対して無利子で貸し付けるものである。この資金に充てるため、48年度には国庫補助金2,271,755,000円が交付されている。
 しかして、前記の34道県が行った貸付けの適否及び農業者等の貸付金使用の状況を本院が調査したところ、青森ほか13県が行った貸付けのうち37,941,000円について、次のとおり不当と認められるものがあった。

貸付けの対象にならないものに貸し付けているもの

8事項

5,432,494円

借受け者が事業を実施していないもの

9事項

5,111,861円

借受け者が計画事業費より少額で事業を実施しているもの  12事項  3,703,985円

29事項 14,248,340円

 このため、上記の貸付金14,248,340円に対する国庫補助金相当額9,403,895円が補助の目的に添わない結果になっていると認められた。

県名 貸付金 左のうち調査したもの 不当貸付金
貸付けの対象にならないものに貸し付けているもの 事業を実施していないもの 計画事業費より少額で実施しているもの
事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額

青森県

2,379
千円
864,520

24
千円
42,173
  千円
  千円

1
千円
314

1
千円
314
宮城県 1,904 507,827 20 26,337     2 892     2 892
山形県 916 486,306 29 93,141 1 541         1 541
福島県 2,150 660,640 28 31,053 2 1,000         2 1,000
栃木県 1,751 582,340 15 24,872     1 1,215     1 1,215
千葉県 2,066 1,162,150 27 37,433         1 193 1 193
福井県 508 185,275 22 27,251 1 1,681 1 891     2 2,572
長野県 951 343,874 5 7,424     1 169     1 169
静岡県 177 148,337 7 12,320         1 162 1 162
兵庫県 1,166 656,303 18 23,106 1 184     2 457 3 642
徳島県 3,415 869,400 29 30,626 2 1,526 1 1,199 3 1,311 6 4,036
香川県 2,415 615,905 25 22,384 1 498 2 580 3 928 6 2,007
高知県 3,412 757,097 25 27,160         1 335 1 335
熊本県 2,050 677,015 10 11,915     1 163     1 163
25,260 8,516,989 284 417,195 8 5,432 9 5,111 12 3,703 29 14,248

 検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

 (ダム工事の岩石採取等に使用する機械の燃料費の積算について)

 東北ほか2農政局(注) が、昭和46年度から施行している米沢平野農業水利事業水窪ダム工事ほか4工事について検査したところ、次のとおり、燃料費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の各工事はいずれもロックフィルダムを築造するものであるが、これら各工事の予定価格の内訳についてみると、工事に使用する岩石等の掘削、積込み及び運搬に使用する機械の燃料費(積算額合計7182万余円)については、軽油引取税(1kl当たり15,000円)が含まれている通常の販売価格によって積算している。しかし、岩石等の掘採場内において専ら掘削、積込み及び運搬に使用する機械の動力源として使用する軽油については、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づき軽油使用者が都道府県知事に申請して免税証の交付を受ければ軽油引取税が課税されないことになっており、本件各工事の請負人が使用する軽油については、使用機種、施工の内容からみて、いずれもこの免税措置の対象となるものであると認められるので、積算に当たってこのことを考慮したとすれば積算額を約3700万円程度低減できたと認められた。

 上記について、当局の見解をただしたところ、農林省では、49年8月に各地方農政局等に通達を発し、ダム工事等の施行に当たっては、岩石採取等に使用する機械の動力源として使用する軽油で上記の免税措置の対象となるものについて免税価格で積算するよう処置を講じた。

 (注) 東北、北陸、近畿各農政局

(輸入麦の保管等について)

 食糧庁が食糧用又は飼料用の麦の輸入に当たって支払っているはしけ滞船料は近年増加の傾向にあり、昭和48年度におけるその支払額は19億6579万余円に上っている。しかして、本院が23の輸入港について調査したところ、上記のようにはしけ滞船料が多額に上っているのは、主として麦の輸入数量が港頭サイロの収容力を大幅に上回っていることによるものではあるが、次のとおりサイロにおける保管方法が適切でなかったこともその一因となっていると認められた。
 すなわち、上記の各港で輸入麦の保管に使用しているサイロの実収容力は総計約87万tとなっているが、これらのサイロのビン(サイロ施設のうち貯蔵筒の部分)に輸入麦を収容するに当たっては、同一産地銘柄のものであっても単位容積当たり重量、水分の含有率又はきょう雑物等の混入度合い(以下総称して「品位数値」という。)が異なっている場合にはそれぞれの品位数値ごとに別ビンに区分して収容することとしており、このため、各ビンについてみると相当の収容余力のあるものが多数見受けられる状況であった。しかし、これらの麦は、産地銘柄別にみれば品位数値の差は極めてわずかであり、また、売渡価格もほとんど差異がないものであるから、実需者である製粉業者の加工の実態等からみて可能な範囲で同一ビンに保管する麦の品位数値の幅を拡大しても何ら支障はないと認められ、この方途を講じたとすれば収容力の不足が相当に解消され、ひいてははしけ滞船料を相当程度低減できたと認められた。いま、はしけ滞船料支払額の最も多かった48年7月の入港分について東京及び大阪の両港を例に採って、同一ビンに収容する麦の品位数値の幅を支障のない範囲で拡大することとして計算してみると、はしけ滞船料2億0817万余円のうち約3000万円程度を節減できたと認められた。
 また、各サイロに収容されている麦のうちには、既に製粉業者等に売り渡されているのに買受け者の引き取りが遅延していて長期にわたってサイロに保管されたままとなっているものが相当に見受けられ、これらについて引き取りを促進することによってもひいてははしけ滞船料を低減できると認められた。

 上記について、当局の見解をただしたところ、食糧庁では、49年9月及び11月に各食糧事務所長に通達を発し、同一ビンに収容する麦の品位数値の範囲を拡大してサイロを効率的に使用することとするなどの処置を講じた。