(昭和49年11月15日付け49検第345号運輸大臣あて)
第一ほか3港湾建設局(注1)
が昭和47、48の両年度に施行した防波堤等築造工事のうち、秋田港南防波堤(その2)工事ほか21工事(工事費総額64億2117万余円)について検査したところ、次のとおり、ケーソン(注2)
のえい航、すえ付け費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の22工事はいずれも防波堤等をケーソン構造で築造するため、1函当たり重量が700tから1,600t未満のケーソンのすえ付け等を施工するものであるが、これら工事の予定価格の内訳についてみると、ケーソンのえい航、すえ付け費については、運輸省が定めている「港湾・空港請負工事積算基準」(以下「積算基準」という。)により、1函当たりの作業をえい航準備、えい航、すえ付け準備及びすえ付けの4段階又はえい航準備、えい航及びすえ付けの3段階に区分し、各作業区分ごとに、次に掲げる作業船及び作業員がそれぞれ1日か働するとして総額を264,866,510円と算定している。
えい航準備 | 起重機船、台船、引き船、潜水夫船各1隻、とび工2人、普通作業員4人又は6人 |
すえ付け準備 | 同上 |
えい航 | 引き船1隻 |
すえ付け | 起重機船、引き船各1隻、潜水夫船3隻、とび工4人又は5人、普通作業員9人又は11人 |
しかし、各工事における施工の実態を調査したところ、ケーソン1函当たりのえい航準備からすえ付けまでの一連の作業を起重機船、台船各1隻、引き船、潜水夫船各2隻並びにとび工及び普通作業員計12人から22人の組合せにより1日又は2日の通し作業で施工していて、その作業船延べ隻数及び作業員延べ人数は積算の際見込んだものを相当に下回っている状況であった。
したがって、本件各工事の施行に当たって、上記の点を考慮して積算したとすれば、積算額を約7000万円程度低減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、積算基準が最近の施工形態の変化に適応して整備されていないことによると認められる。
ついては、同省においては、この種の工事を今後も引き続き施行するのであるから、施工の実態を十分調査検討して積算基準の内容を整備し、予定価格積算の適正を期する要があると認められる。
(注1) 第一、第二、第三、第四各港湾建設局
(注2) ケーソン 防波堤工事では、所定の個数の鉄筋コンクリートの箱を陸上で造り、これを逐次現場にえい航して沈下し、中に砂などを詰めて堤の主体とする工法が一般的に用いられている。この鉄筋コンクリート箱をケーソンという。(図参照)