(昭和49年12月2日付け490普第1777号 郵政事務次官あて)
東京ほか20地方貯金局(注) 昭和48年度にカシオ計算機株式会社に請け負わせ実施した郵便振替口座計算用会計機(甲)(以下「会計機」という。)181台の保守作業(請負額1356万余円)について検査したところ、次のとおり、定期点検料の算定が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の保守料金は、郵政省が定めて各地方貯金局に指示した全国統一単価をそのまま適用して各地方貯金局が算定したものであるが、この全国統一単価の内訳についてみると、定期点検料については、1台1回当たりの所要時間を270分とし、これに時間当たり単価を乗ずるなどして1回当たりの単価を12,000円と算定している。しかし、本院が定期点検作業についてその実態を調査したところ、各地方貯金局によって作業内容がまちまちであり、このため作業に要する時間もまたまちまちとなっていた。そして、数局について最も適切と認められる作業内容により保守作業を実施させた結果、定期点検作業は1台1回当たり120分程度で十分実施できると認められる状況であった。したがって、作業の実態に適合した作業時間により定期点検料を算定したとすれば、上記の契約額を約400万円程度低減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、同省が、全国統一単価を決定するに当たって保守作業の内容の詳細を明確にしないまま前記の会社の見積額をそのまま採用し、各地方貯金局に対してこの単価をもって契約を締結するよう指示し、各地方貯金局でそのままこれに従っていたことによると認められる。
ついては、同省においては、今後も会計機の設置台数が増加することが見込まれており、これらの会計機について引き続き保守を行うのであるから、定期点検作業の実態を調査検討の上、保守作業の内容を明確にするとともに、各地方貯金局が適正な保守料金で契約を締結できるよう適切な処置を講ずる要があると認められる。
(注) 東京、横浜、宇都宮、長野、新潟、金沢、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、広島、松江、下関、徳島、福岡、長崎、熊本、鹿児島、仙台、小樽各地方貯金局