(概況)
昭和48年11月から49年10月までの間に、所管庁から出納職員の現金亡失についての報告を受理したものは、82件50,806,077円である。これに繰越し分13件18,400,733円を加え、処理を要するものは95件69,206,810円であり、そのうち上記の期間内に処理をしたものは88件53,258,996円である。
処理を要するもの及び処理をしたものの所管別内訳は次表のとおりである。
処理をしたもののうち、出納職員に弁償責任があると検定したものは5件12,463,131円、出納職員に弁償責任がないと検定したものは17件7,292,051円である。その他の66件33,503,814円は、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が既に補てんされているもの53件24,440,373円、出納職員がその保管にかかわる現金を亡失した場合に該当しないと認めたもの4件5,845,215円などである。
(検定したものの説明)
弁償責任があると検定したものは法務省の1件9,990,000円及び郵政省の4件2,473,131円で、その概要は次のとおりである。
(1) 神戸入国管理事務所歳入歳出外現金出納官吏糸井某が、昭和45年1月30日から48年3月16日までの間に、33回にわたって小切手を不正に振り出し、これを現金化して9,990,000円を領得したものである。
(2) 近畿郵政局管内河内郵便局出納員山中某が、昭和47年9月4日から11月30日までの間に、局外で集金した簡易生命保険保険料等1,052,251円を横領したものである。
(3) 東京郵政局管内東京卸売りセンター内郵便局出納員千葉某が、昭和46年12月20日から47年7月17日までの間に、窓口で受領した郵便料金計器別納予納金等561,000円を横領したものである。
(4) 東京郵政局管内目黒郵便局出納員疋田某が、昭和46年10月25日から47年9月21日までの間に、局外で集金した簡易生命保険保険料等679,880円を領得したものである。
(5) 九州郵政局管内鹿屋郵便局出納員白浜某が、昭和48年5月4日、為替、貯金等の現金受け払い事務に従事中、180,000円の現金の不足を生じたもので、同出納員が電話等のため離席した間の現金受け払い事務は他の職員が便宜代行していたが、その際同出納員は、取扱区分を明確にするため所要の支払資金を査算の上交付し残余の現金を引き出しに格納して施錠するなどの配慮を怠っていたのであり、また、当日の窓口における現金の取扱高程度の事務量では現金の正確な取扱いが困難ではなかったと認められるから、出納職員として善良な管理者の注意を怠ったことによるものであると認めたものである。
次に、弁償責任がないと検定したものは、法務省の1件650,000円及び郵政省の16件6,642,051円である。これらは、施錠していた金庫等から出納官吏の前任者により小切手帳及び職印等を取り出され、小切手を偽造されて現金を窃取されたもの、及び金庫が破壊され保管していた現金を窃取されたものなどで、いずれも出納職員として善良な管理者の注意を怠ったことによるものでないと認めたものである。