昭和48年度の貸付計画は、当初6366億円であったが、その後の改定により8236億円となった。これに対し、貸付実行額は8249億9348万余円で、前年度に比べて2126億8698万余円増加している。
貸付実行額から投資育成会社貸付金8億円及び設備貸与機関貸付金56億0044万余円を除いた8185億9304万円を貸付方式別にみると、直接貸付け3892億9490万円(47.6%)、代理貸付け4292億9814万円(52.4%)となっている。また、これを資金使途別にみると、設備資金5085億8482万余円(62.1%)、運転資金3100億0821万余円(37.9%)となっている。なお、48年8月以降基準利率を年7.7%から3回にわたって合計で1.2%引き上げ、49年2月から年8.9%にしている。
貸付実行額から回収額等4681億1171万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は3568億8177万余円であり、年度末貸付金残高は1兆6843億8619万余円となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は42億6057万余円(うち1年以上延滞のものは36億8558万余円)で、前年度末に比べて7014万余円増加(1年以上延滞のものでは2328万余円減少)している。
48年度中の資金交付額は8236億9215万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金5206億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金260億円、債券発行による収入金749億8575万円及び回収金等2021億0640万余円を充当している。
また、48年度末における東京、名古屋及び大阪の各中小企業投資育成株式会社に対する出資金残高は6億9900万円で、前年度末に比べて8100万円減少している。これは、38年に各会社が発行し公庫が引き受けた優先株式が、当該各会社の47営業年度利益処分により消却されたことによるものである。
48年度において、利益は、貸付金利息1184億2231万余円等1256億6422万余円、損失は、借入金利息725億2075万余円、債券利息234億9445万余円、業務委託費139億8191万余円、事務費61億7101万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で1236億6071万余円となり、差額20億0350万余円を全額滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の1.22に相当し、これを加えた滞貸償却引当金347億6850万余円は年度末貸付金残高の1,000分の21.24となり、累積限度額の44.25%になっている。
48年度の総収益率は7.59%で、前年度に比べて0.11%低下している。これは、貸付利率の引上げがあったものの、前年度に実施した貸付利率の引下げが影響したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率は7.45%で、前年度に比べて0.09%低下している。また、滞貸償却引当金繰入れ率は0.13%となり、前年度に比べて0.01%低下している。