昭和48年度の貸付計画は、5500億円であり、これに対し、貸付実行額は前年度までの計画に基づいて48年度に貸し付け実行した分を含め5439億3400万円で、前年度に比べて833億9400万円増加している。
貸付実行額を貸付種類別にみると、その主なものは次のとおりである。
都市開発 | 1021億2500万円 | |
地方開発 | 810億6000万円 | |
国民生活改善 | 926億7800万円 | |
エネルギー | 634億6600万円 | |
海運 | 966億9700万円 | |
技術振興 | 571億0500万円 |
このうち、前年度に比べて増減の著しいものは、国民生活改善(328億7500万円増)、都市開発(283億4000万円増)、エネルギー(194億3000万円増)、海運(388億5400万円減)である。なお、48年8月以降基準利率を年7.7%から3回にわたって合計で1.7%引き上げ、49年2月から年9.4%にしている。
貸付実行額から回収額2302億2604万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は3137億0795万余円であり、年度末貸付金残高は2兆6379億6597万余円(うち外貨貸付金235億2931万余円)となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は201億7825万余円(うち1年以上延滞のものは200億6644万余円)で、前年度末に比べて5億6097万余円減少(1年以上延滞のものでは1億8028万余円増加)している。上記の元金延滞額のうち177億8666万余円は石炭鉱業に対するもので、前年度末に比べて6620万余円減少している。
石炭鉱業に対する貸付けについては、石炭鉱業再建整備臨時措置法(昭和42年法律第49号)に基づいて会社が国から交付を受ける元利補給金及び再建交付金により貸付金の一部について弁済を受けているが、48年5月、同法の一部改正により従来交付対象となっていなかった貸付金の一部についても国の再建交付金による弁済を受けることになった。日本開発銀行が48年度中にこれらの補給金等により弁済を受けた貸付金元本は44億8544万余円で、年度末の石炭鉱業に対する貸付金残高757億1598万余円のうち、補給金等により弁済を受けることになっているものは539億0389万余円である。また、上記の貸付金残高のうち、129億2693万余円は、会社が石炭の生産事業を廃止したことにより当初予定した補給金等による弁済を受けられなくなっているものである。
また、海運業に対する貸付けについては、海運業の再建整備に関する臨時措置法(昭和38年法律第118号)に基づいて日本開発銀行が48年度中に会社から支払を受けた猶予利子の額は12億0102万余円で、猶予利子の年度末残高は246億3803万余円となっている。
48年度中の資金交付額は5408億6300万円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金3854億円及び回収金等1554億6300万円を充当している。
48年度において外貨債務を保証した額は、電力11億4396万余円、減少した保証債務額は367億3698万余円で、年度末保証債務(支払承諾)残高は3013億2186万余円となっている。
48年度において、利益は、貸付金利息1857億2101万余円等1931億2931万余円、損失は、借入金利息1310億8201万余円、事務費54億2374万余円、外貨債券利息16億2870万余円、特別納付金12億0102万余円等貸倒準備金繰入れ前で1590億1488万余円となり、341億1442万余円の差額が生じるが、73億2030万余円を貸倒準備金に繰り入れたので、利益金は267億9411万余円になった。このうち184億6576万余円は法定準備金として積み立て、残額83億2835万余円は国庫に納付した。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000の2.81に相当し、これを加えた貸倒準備金681億2323万余円は年度末貸付金残高の100分の2.61となり、累積限度額の87.19%になっている。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高の1,000分の10相当額以内の金額、その累積限度額は年度末貸付金残高の100分の3相当額と定められているが、48年度の繰入れ額は大蔵大臣の指示により上記の累積限度額から100億円を控除した金額まで繰り入れることとして計算したものである。
48年度の利益金267億9411万余円は前年度に比べて12億1537万余円増加している。また、法定準備金の積立額184億6576万余円は前年度に比べて21億9595万余円増加しており、国庫納付金83億2835万余円は前年度に比べて9億8058万余円減少している。
48年度の総収益率は6.90%で、前年度に比べて0.01%上昇している。貸倒準備金繰入れ前の経費率は5.50%で、前年度に比べて0.07%上昇している。また、貸倒準備金繰入れ前の利益率は1.39%となり、前年度に比べて0.06%低下している。