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  • 昭和49年度|
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オシロスコープの修理に当たり、新品購入を考慮しなかったため、不経済になったもの


(1) オシロスコープの修理に当たり、新品購入を考慮しなかったため、不経済になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)装備品等整備諸費
昭和48年度国庫債務負担行為
(組織)防衛本庁(事項)装備品等整備
昭和49年度国庫債務負担行為
(組織)防衛本庁(事項)装備品等整備
部局等の名称 航空自衛隊第3補給処
契約件名 オシロスコープ(J/USM−1Aほか4品目)の修理
契約の概要 各種通信電子機器の電気波形等の観測に使用する計測器であるオシロスコープの故障箇所の診断及び故障部分の機能を復元するための修理
台数46台
契約額 26,915,000円、ほかに官給材料1,718,589円
請負人 東栄電気工業株式会社
契約 昭和48年9月〜50年2月 7回 随意契約
支払 昭和49年9月〜50年9月 7回

 この物品の修理に当たって、修理するオシロスコープより性能が優れた新型式の市販品があり、これを購入した方が経済的であったのに、購入することを考慮しなかったため、約550万円が不経済になったと認められる。

(説明)
 航空自衛隊では、現有する装備品等の修理について、装備品等の修復に要する部品費及び役務費を含む総費用が、当該物品の新品購入価格の65%以内の場合に修理を実施することとしており、本件オシロスコープについては、修理費を1台当たり505,084円から570,100円(昭和48年度国庫債務負担行為による契約)及び507,393円から730,502円(49年度の歳出予算及び国庫債務負担行為による契約)と見積り、その新品購入価格を過去の購入実績等によって1,284,000円から1,600,000円とし、このことから、いずれも上記の基準からみて修理することが適当であるとして修理を実施している。
 しかして、本件修理を実施したオシロスコープは、いずれも、36年度から44年度までの間に購入した真空管使用のものであるが、この種オシロスコープの製造等の実情についてみると、近年の電子工業技術の進歩に伴って、トランジスタ使用又はトランジスタ、集積回路併用の新型式のものが開発、市販されるとともに真空管使用の旧型式のものの製造は逐次取りやめられており、その性能等をみると、真空管使用のものに比べて、トランジスタ使用又はトランジスタ、集積回路併用のものは、信頼性、整備性、耐久性等が著しく向上し、消費電力も著しく低減しており、価格も、旧型式のものが44年度に128万円程度であったのに対し、新型式のものは同年度に60万円程度で、その後逐年廉価となっている。現に、同自衛隊においてもこれらの実情に応じ、既に44年度から新型式のものを購入しており、この修理契約当時の購入価格をみても、1台当たり577,000円(47年度)、540,000円(48年度)及び481,000円(49年度)となっている状況である。

 上記のような製品の供給状況、性能及び価格等からみて、本件修理を実施するに当たっては、廉価な新型式のものの購入を考慮すべきであったのに、既に市販されていない旧型式の物品についてその価格を過去の購入実績等により算定し、これをそのまま新品購入価格として修理実施が適当であると判断したのは適切とは認められない。もし、本件修理に当たって、新型式の市販品の購入価格を基にして修理実施の適否を検討したとすれば、修理見積額はいずれも修理実施の限度額を大幅に上回るばかりでなく、大部分は新品購入価格さえも上回ることとなり、修理の実施が不適当であることは容易に判明したと認められる。
 いま、仮に、本件修理を実施しないで新型式の市販品を購入したとすれば、その購入価額は23,070,000円で足り、本件修理に要した費用に比べて約550万円を節減できたと認められる。

 なお、上記のほか、49年度国庫債務負担行為により50年3月に修理契約を締結したものが5台(契約額3,004,000円)あったが、これについては、本院の注意により、8月にそれまでに実施済みの一部作業(作業費487,000円)を除き契約を解除した。