検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。
放射線医学総合研究所(科学技術庁の附属機関)の経理について実地に検査したところ、昭和46年度から49年度までの間に研究室長等の職員が水中核種の魚卵発生に及ぼす影響等の研究21件を民間研究機関等からの依頼により行っており、この研究に要する費用として研究室長等の職員が受け入れ使用した金額は2769万余円となっていた。
しかして、これら研究の実態をみると、国の職員がこれら研究のために国の施設、設備等を使用しているのであるから、国の受託研究として取り扱い、その費用の支弁、徴収について正規の会計経理をすべきであると認められた。
このような事態を生じたのは、同研究所が研究を受託する場合の取扱方法が全く示されていないこと、職員の認識が十分でないことなどによると認められたので、当局の見解をただしたところ、科学技術庁では、50年10月に受託研究に必要な実施要領を整備し、放射線医学総合研究所長に対して受託研究費の算定基準等について通達を発するとともに、職員にその趣旨を周知徹底せしめ、今後研究を受託する場合には国の受託研究として取り扱い、研究費を国の歳入に受け入れ、また、必要な経費については歳出予算から支出することとした。