検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。
法務省が昭和49年度中に課税した船舶所有権保存登記の登録免許税(1,182件5億8190万余円)について検査したところ、次のとおり、課税標準額の認定が実情に即応しておらず、ひいては登録免許税額が低額になっていると認められる事態が見受けられた。
すなわち、船舶の所有権の保存登記をする際には、登録免許税法(昭和42年法律第35号)の規定に基づき、登記時における当該船舶の価額を課税標準とし、これに所定の税率を乗じて得た額を課税することとなっており、法務局等登記を管轄する各部局で上記の船舶の価額を認定するに当たっては、民事局長が定めている認定基準(船舶の種類等に応じて1t当たりの船価が定められている。船舶の種類は、貨物船、客船、油そう船等に区分されており、この区分の適用については船舶登記取扱手続(明治32年司法省令第35号)において登記申請書類に記載させることとしている種類によることになっている。)に従って計算している。しかし、上記の取扱手続は昭和28年に、また、認定基準は36年に改定したままとなっているため、コンテナー船、カーフェリー、水中翼船等船価の割高な新船種の出現によって船舶の種類が多様化し、しかも、一般に船価が著しく上昇している現在においては実情に即応しないものとなっており、ひいては登録免許税額が低額になっていると認められた。
上記について当局の見解をただしたところ、法務省では、50年5月に取扱手続及び認定基準を実情に即応するよう改定し、8月以降これを適用することとする処置を講じた。