厚生保険特別会計について
厚生保険特別会計は、健康、日雇健康、年金、児童手当及び業務の各勘定に区分して経理されている。
(健康勘定について)
昭和49年度末における政府管掌健康保険の適用事業所数は74万余、被保険者数は1330万余人で、1事業所当たりの被保険者数は17.9人になっている。
保険給付の大部分を占めている療養に関する給付(医療給付費)の額は1兆1386億9271万余円で、これは、被保険者1人当たり83,889円になっており、前年度に比べると25,178円の増加になっている。
健康勘定の49年度の損益についてみると、保険料1兆0909億9595万余円、一般会計からの受入れ1356億7581万余円等の利益1兆2315億6274万余円に対し、保険給付費1兆2548億7364万余円、支払利子247億5970万余円等の損失1兆2939億1622万余円で、差し引き623億5348万余円の損失となっており、前年度に比べて435億2093万余円増加している。
このように損失が著しく増加したのは、主として、保険料収入の伸びが34.1%であったのに対し、49年の医療費改定等により保険給付費が43.1%増加したことによるものである。
同勘定は、38年度以降引き続いて損失を生じており、この間、保険料率の引上げ、被保険者の標準報酬月額上限の引上げ等保険料増収の処置を執り、また、一般会計から累計3507億3265万余円の繰入れを受けているが、なお、49年度末の累積損失は3146億3681万余円になっている。
(日雇健康勘定について)
昭和49年度末における日雇労働者健康保険の被保険者数は47万余人であり、49年度の医療給付費は414億3575万余円で、被保険者1人当たり82,310円になっている。
日雇健康勘定の49年度の損益についてみると、保険料129億5530万余円、一般会計からの受入れ160億3161万余円等の利益291億7718万余円に対し、保険給付費426億6577万余円、支払利子147億2213万余円等の損失574億2013万余円で、差し引き282億4295万余円の損失になっている。
しかして、同勘定は、35年度以降引き続いて損失を生じており、49年度末の累積損失は2187億4519万余円になっている。これは、保険給付に要する費用のうち療養の給付等について、その35%を国庫が負担しているが、保険給付費に対する保険料収入の割合が低いことによるものである。