ページトップ
  • 昭和49年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第9 郵政省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

簡易生命保険の契約締結及び貯蓄奨励手当の支給について処置を要求したもの


(1) 簡易生命保険の契約締結及び貯蓄奨励手当の支給について処置を要求したもの

 (昭和50年7月29日付け50検第294号 郵政大臣あて)

 東京ほか10郵政局管内の52郵便局(注1) が募集し、東京ほか6地方簡易保険局(注2) が昭和49年度中に締結した簡易生命保険契約約22万7千件のうち4万3千余件について検査したところ、簡易生命保険法(昭和24年法律第68号)において本保険の被保険者1人当たりの保険金額の最高制限額(以下「制限額」という。)を定めているのに、これを超えて契約していたものが1,962件(保険金額のうち制限額を超過している額の合計額47億6834万円)見受けられた。

 上記のよぅに制限額を定めているのは、本保険が広く国民各層に簡易に利用されることを目的として、保険契約の申込みの際被保険者の身体を診査しないことを特色としているものであるので、経営上負担し得る危険に限度を設ける必要があるということなどを理由としているものであるから、このような制限額を設けた趣旨に反して契約しているのは適切でないと認められる。

 また、上記の各郵便局では、本保険の募集をした当務者に対して保険料及び保険金額に応じて貯蓄奨励手当を支給しているが、このうちには上記の制限額を超過している47億6834万円にかかわるものが含まれている。

 このような事態を生じたのは、募集当務者等に対して制限額についての簡易生命保険法の規定の趣旨が十分徹底されていないこと、郵便局及び地方簡易保険局における募集又は契約事務の過程において被保険者1人当たりの保険金額を審査する体制が整備されていないことなどによると認められる。

 ついては、募集当務者に対して募集行為についての指導、監督を徹底し、郵便局及び地方簡易保険局に被保険者ごとに本保険の契約状況を一覧できる名簿類を備え付けて保険契約の申込みを受け付けた際にこれと照合するなどの審査体制を整備するとともに、保険契約の申込書に制限額を明示するなどの処置を講じ、また、制限額を超過した契約にかかわる貯蓄奨励手当はこれを支給しない取扱いとする要があると認められる。

 (注1)  (東京郵政局管内)東京中央、新宿、牛込、下谷、浅草、本所、世田谷、中野、板橋、板橋北、石神井各郵便局、(関東郵政局管内)戸塚、平塚、藤沢、小田原、蕨、古河各郵便局、(信越郵政局管内)新潟中央、三条両郵便局、(東海郵政局管内)名古屋東、千種、中村、江南、美濃加茂各郵便局、(北陸郵政局管内)金沢中央、富山、高岡各郵便局、(近畿郵政局管内)明石、奈良両郵便局、(中国郵政局管内)呉、宇部、徳山、小野田各郵便局、(四国郵政局管内)徳島、鳴門、小松島各郵便局、(九州郵政局管内)諌早、大村、門司港、若松各郵便局、(東北郵政局管内)五所川原、黒石、新庄、寒河江、村山、天童、能代、大館各郵便局、(北海道郵政局管内)帯広、滝川、砂川、上砂川各郵便局

 (注2)  東京、岐阜、京都、高松、福岡、仙台、札幌各地方簡易保険局