(昭和50年11月28日付け50検第411号 郵政大臣あて)
昭和49年度末の宿直勤務者又は夜間勤務者を配置していない特定郵便局(以下「夜間無人局」という。)は14,129局で、特定郵便局数16,926局の83.4%を占めているが、定員、労働条件等諸般の事情から夜間無人局は逐年増加しており、一方、これらの夜間無人局で、同年度中、支払準備資金などの現金を、夜間、金庫内に保管していたため外部からの侵入者によりこれを窃取されたものが41件3206万余円あり、このような盗難による損害額も逐年増加する傾向にある。
しかして、上記の盗難の防止のためには、夜間無人局に、夜間、現金を留め置かないことが抜本的な対策であると考えられるが、これについては、郵政省においても、従来から一部の郵便局については、夜間、現金を銀行等に預入して保管を依頼する方法を講じている。
しかし、この方法も、銀行等民間金融機関の協力を待たねばならず、必ずしも最善の方法とは認められないので、同省部内において独自に実施できる方法の有無について調査したところ、同省で、現在、特定郵便局が授受局(注1) から資金の交付を受け又は授受局に過超金(注2) を送付する際、これらの現金を郵便物の輸送のため郵便局等の間を定期的に走行している運送便等により授受していること、しかも、これらの授受局には宿直勤務者等が配置されており、また、大型金庫も配備されていることからみて、夜間無人局の保管現金についても、授受局への現金の送付及び翌朝における授受局からの現金の受領にこの運送便等を利用することができるとすれば、夜間における現金の保管を授受局に行わせることができ、夜間無人局には多額の現金を留め置く必要がなくなると認められる。この方法について、関東、東海、北陸各郵政局管内の夜間無人局における授受局との間の運送便等の運行状況を調査したところ、現行の運送便等を利用することにより、業務開始前又は業務開始後まもなく資金を受領でき、夜間における現金の保管を授受局に行わせることができると認められる局が相当数見受けられる状況であり、更に、運送便等の運行に若干の調整を加えることによりこれを実施できる局は一層増加するものと思料され、この事態は他の郵政局管内においても同様と認められる。また、上記の方法を採用することが困難と認められるものがある場合には、従来から一部の郵便局で実施している銀行等へ預入する方法によらざるを得ないが、これについても調査したところ、現在、預入する対象として指定されているのは銀行等の一部にすぎず、なお追加して指定する余地があると認められる。
ついては、運送便等の利用による現金の保管方法の改善について速やかに検討するなどして、できる限り、夜間無人局に、夜間、現金を留め置かない措置を講じて、現金盗難の防止を図る要があると認められる。
(注1)
授受局 他の郵便局に対し資金を送付し、又は他の郵便局から過超金を受領する郵便局
(注2) 過超金 郵便局で、当日の受払い上、支払準備資金を除いてなお残余となった現金