会計名及び科目 | 一般会計 (組織)建設本省 | (項)住宅建設事業費 (項)河川等災害復旧事業費 |
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 (項)街路事業費 | |
治水特別会計(治水勘定) | (項)河川事業費 (項)砂防事業費 | |
部局等の名称 | 青森ほか12県 | |
補助の根拠 | 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)、道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)等 | |
事業主体 | 県11、町村3 計14事業主体 | |
補助事業 | 青森県上北郡六ヶ所村県道尾鮫有戸停車場線48年災害復旧工事等15工事 | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 273,937,543円 |
上記の15補助事業において、工事の設計が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたりなどしていて、国庫補助金32,642,115円が不当と認められる。このうち、5,223,916円は道路整備特別会計の分(4工事)、10,336,175円は治水特別会計治水勘定の分(7工事)である。
これは、北海道ほか37都府県で全国の工事箇所132,993のうち5.3%に当たる7,081(工事費278,029,139,331円、国庫補助金157,520,618,008円)について検査した結果である。
これを県別に掲げると、別表
のとおりである。
(説明)
前記の14事業主体においては、公共土木施設の新設、改良及び災害復旧等の公共事業15工事を施行するに当たって、工事の設計が適切でなかったため施工した構造物が不安定な状態になっていたり、工事の設計内容の審査が的確でなかったため舗装面積や掘削土量を過大に計上したり、監督及び検査が適切でなかったためコンクリートの強度や舗装の厚さが設計に比べて不足しているのに設計どおり施工されたとして処理したりしていた。
いま、上記の15工事を不当の態様別に示すと次のとおりである。
工事の設計が適切でないものなど | |||
5工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 19,095,679円 | |
工事の施工が設計と相違しているもの | |||
10工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 13,546,436円 |
県名 | 工事 | 事業主体 | 工事費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた工事費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(63)青森県 |
上北郡六ケ所村県道尾駿有戸停車場線48年災害復旧 |
青森県 |
千円 10,949 |
千円 7,303 |
千円 1,204 |
千円 803 |
路側擁壁コンクリート工事の施工不良 |
|
(64)秋田県 | 北秋田郡森吉町ユズキリ沢川通常砂防 | 秋田県 | 7,400 | 4,933 | 2,153 | 1,435 | えん堤の水たたき、副えん堤及び側壁のコンクリート工事の施工不良 | |
この工事は、砂防えん堤の本堤、水たたき、副えん堤及び側壁を新設したもので、設計によると、本堤水通し部以外のコンクリートは圧縮強度150km/cm2 以上となるよう施工することになっていた。しかるに、水たたき、副えん堤及び側壁のコンクリート167m3 のうち97m3 は、コンクリートの運搬中にモルタルと粗骨材とが分離したのに練り直しを行わないで打設したなどのため、採取した試料の圧縮強度が51kg/cm2 から117kg/cm2 (平均85kg/cm2 )となっていて、強度が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(65)山形県 | 南陽市椚塚郡山西線街路築造 | 山形県 | 16,650 | 11,100 | 1,441 | 960 | 路床の排水管工事の設計不適切、施工不良 | |
(66)石川県 | 金沢市金腐川通常砂防 | 石川県 | 21,560 | 14,373 | 4,467 | 2,978 | 護岸コンクリートブロック練り積み工事の施工不良 | |
この工事は、流路延長170mを新設したもので、設計によると、護岸コンクリートブロック練り積み1,115m2 は地盤に1.16m根入れすることになっていた。しかるに、うち上流側の306m2 は0.56mから0.81mしか根入れされておらず不安定な状態になっている。 |
||||||||
(67)滋賀県 | 草津市葉山川中小河川改修 | 滋賀県 | 4,776 | 3,582 | 2,680 | 2,010 | 附帯水路の底張りコンクリート工事の施工不良 | |
この工事は、河川堤防の裏側に並行する附帯水路延長1,268mを改修したもので、設計によると、底張りコンクリート150m3 は、セメント使用量240kg/m3 スランプ8cmで施工することになっていた(この場合のコンクリートの標準的な圧縮強度は通常160kg/cm2 前後となる。)。 しかるに、底張りコンクリートのうち90m3 は、周囲からの浸透水に対する処置が適切でないまま打設されたなどのため、採取した試料の圧縮強度が66kg/cm2 から112kg/cm2 (平均95kg/cm2 )となっていて、強度が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(68)奈良県 | 橿原市飛鳥川中小河川改修 | 奈良県 | 79,515 | 53,010 | 1,875 | 1,250 | 掘削工事の切土量の設計過大 | |
この工事は、河川延長540mを改修したもので、設計に当たって、堤防及び河床は平均高さ2.76m及び2.25mを切り下げることとしその掘削土量を60,506m3 としていた。しかし、堤防のうち延長220mについては設計どおり施工するとその裏側にあるため池の最高水位より低くなるので平均高さ0.95mは切り下げることができず、このため設計掘削土量は3,400m3 が過大となっている。 | ||||||||
(69)鳥取県 | 西伯郡大山町阿弥陀川46年災害復旧及び荒廃砂防(第1工区) | 鳥取県 | 20,727 | 13,820 | 1,188 | 792 | えん堤の本堤及び垂直壁のコンクリート工事の施工不良 | |
(70)広島県 | 福山市一般国道182号舗装新設 | 広島県 | 13,225 | 9,918 | 1,609 | 1,206 | アスファルト舗装工事の施工不良 | |
この工事は、道路延長702mを舗装したもので、設計によると、表層工5,495m2 は、アスファルトコンクリートを厚さ5cmで施工することになっていた。しかるに、表層工のうち1,429m2 は平均3.6cm程度で施工されていて、表層としての耐久性が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(71) 同 | 広島市寺分川通常砂防 | 同 | 9,504 | 6,336 | 1,252 | 834 | 護岸コンクリート工事の施工不良 | |
広島県計 | 22,729 | 16,254 | 2,861 | 2,041 | ||||
(72)山口県 | 阿武郡川上村県道萩長門峡線舗装新設 | 山口県 | 33,933 | 22,622 | 3,432 | 2,288 | アスファルト舗装工事の舗装面積の設計過大 | |
この工事は、道路延長1,915mを舗装したもので、工事の進行に伴って最終的に設計数量を増減して契約変更をする際、表層工を総面積18,432m2 としていたが、これは誤りであって、実際の総面積は13,443m2 にすぎない。 | ||||||||
(73)愛媛県 | 越智郡朝倉村門口川47年災害復旧 | 朝倉村 | 18,645 | 18,048 | 14,303 | 13,845 | 護岸擁壁コンクリート工事の設計不適切、施工不良 | |
この工事は、災害を受けた河川の護岸を復旧したもので、設計によると、河川延長570mのうち延長519mの両岸のコンクリート擁壁は基礎岩盤に30cm根入れすることになっていた。 しかるに、施工に当たって、実際の岩盤線が設計の際想定したより深く、当初設計のままでは擁壁の基部が岩盤に達しないことが明らかとなったのに適切な処置を講じなかったため、土砂を 基礎として根入れも格別しないまま施工され、コンクリート擁壁は極めて不安定な状態となっていて、工事の目的を達していない。 |
||||||||
(74)高知県 | 土佐清水市一般国道321号道路交通安全施設新設高知県 | 高知県 | 7,473 | 3,736 | 1,537 | 768 | 側こうのふた新設工事の施工不良 | |
(75)佐賀県 | 東松浦郡北波多村岸山地区改良住宅土地整備等 | 北波多村 | 72,168 | 48,112 | 2,163 | 1,442 | 排水路工事の延長の設計過大及び土留めコンクリートブロック練り積み工事の出来高不足 | |
この工事は、改良住宅地区の宅地23,322m2 の土地整備等を行ったもので、U字型排水路のうち地区内排水路4号、6号と地区外排水路は、設計に当たって、その延長を555mとしていたが、これは誤りであって、実際の延長は155mにすぎない。また、土留めコンクリートブロック練り積み8箇所のうち2箇所は、設計によると314m2 を施工することになっていたが179m2 しか施工されていない。 | ||||||||
(76)宮崎県 | 西臼杵郡高千穂町河内川荒廃砂防 | 宮崎県 | 78,551 | 52,367 | 1,914 | 1,276 | えん堤の側壁及び副えん堤のコンクリート工事の施工不良 | |
この工事は、砂防えん堤の本堤、側壁、副えん堤及び水たたきを新設したもので、設計によると、コンクリートは圧縮強度160kg/cm2 以上となるよう施工することになっていた。しかるに、側壁及び副えん堤のコンクリート571m3 のうち120m3 は、粒度の分布が適当でなくしかも泥土が混入している骨材を使用して施工したなどのため、採取した試料の圧縮強度が102kg/cm2 から117kg/cm2 (平均107kg/cm2 )となっていて、強度が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(77) 同 | 東諸県郡国富町町道下六野西光寺線48年災害復旧 | 国富町 | 7,008 | 4,674 | 1,127 | 751 | 路側擁壁コンクリート工事の設計不適切 | |
宮崎県計 | 85,559 | 57,041 | 3,041 | 2,027 | ||||
合計 | 402,084 | 273,937 | 42,345 | 32,642 |