昭和49年11月から50年10月までの間に、所管庁から出納職員の現金亡失についての報告を受理したものは、108件73,929,769円である。 これに繰越し分7件15,947,814円を加え、処理を要するものは115件89,877,583円であり、そのうち上記の期間内に処理をしたものは99件75,271,434円である。
処理を要するもの及び処理をしたものの所管別内訳は次表のとおりである。
処理をしたもののうち、出納職員に弁償責任があると検定したものは3件4,131,075円、出納職員に弁償責任がないと検定したものは35件30,161,037円である。その他の61件40,979,322円は、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が既に補てんされているもの53件30,071,747円、出納職員がその保管にかかわる現金を亡失した場合に該当しないと認めたもの6件7,367,914円、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額について国と出納職員との間に裁判上の和解が成立しているもの1件3,061,661円などである。
(検定したものの説明)
弁償責任があると検定したものは郵政省の3件4,131,075円で、その概要は次のとおりである。
(1) 関東郵政局管内横浜中央郵便局出納員神尾某が、昭和48年6月7日及び7月17日、局外で集金した簡易生命保険保険料180,300円を領得したものである。
(2) 東京郵政局管内目黒郵便局出納員風間某が、昭和47年12月27日から48年5月29日までの間に、簡易生命保険保険金等3,750,775円を領得したものである。
(3) 関東郵政局管内船橋郵便局出納員角田某が、昭和47年12月24日、手さげ金庫に入れて物品保管戸だなに保管していた電信為替居宅払金200,000円を窃取されたもので、23日同出納員が送達不能であるとして電信為替居宅払金200,000円在中の現金書留郵便物の返付を受けた際、事故補正受けの手続きをせず、また、事務終了後当該現金在中の封筒を金庫に格納することを失念したため、現金を窃取されるに至つたのは出納員として善良な管理者の注意を怠ったことによるものであると認めたものである。
次に、弁償責任がないと検定したものは、郵政省の35件30,161,037円である。これらは、金庫が破壊され保管していた現金を窃取されたもの、及び凶器を所持した賊に脅迫され保管していた現金を強取されたものなどで、いずれも出納職員として善良な管理者の注意を怠ったことによるものでないと認めたものである。