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  • 昭和49年度|
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  • 工事

事業用水設備改良工事の施行に当たり、給水管等の布設費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(80) 事業用水設備改良工事の施行に当たり、給水管等の布設費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)基幹施設増強費
部局等の名称 新幹線総局
工事名 大阪運転所事業用水設備改良工事
工事の概要 事業用水の一部を地下水から工業用水に切り替えるなどのための地下貯水槽の新設及び給水管等の増設工事
工事費 68,680,362円(当初契約額67,000,000円)
請負人 株式会社西原衛生工業所
契約 昭和49年11月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和50年4月
支払 昭和50年4月

 この工事は、給水管等の布設費の積算が適切でなかったため、契約額が約1120万円割高になったと認められる。

(説明)
 この工事のうち給水管、揚水管及び取水管の布設については、設計に当たって、管径20mmから250mmの鋼管を使用し、管延長1,383mのうち、214 mについては163箇所をねじ接合とするほか、直管延長1,083mについては197箇所をビクトリック・ジョイントによる接合、曲管延長85mについては167箇所をフランジ接合とすることとしていた。そして、工事費の予定価格の内訳についてみると、布設費については、昭和49年4月に本社が作成した「建築工事積算要領(案)」により、給水管亜鉛メッキ鋼管の径20mmから250mmものの配管歩掛かりを適用して39,085,337円と積算している。
 しかして、前記の積算要領で示している鋼管の配管歩掛かりはねじ接合により配管する場合を対象としたものであって、その接合作業はねじ切り、ねじ込み等の複雑な作業を要するものであるが、これに対して本件配管工事で施工することとしているフランジ接合、ビクトリック・ジョイントによる接合の場合の接合作業は、ねじ接合作業と比べて次のような相違点がある。

(ア) フランジ接合は、管端部にフランジを溶接し、フランジを突き合わせて4本ないし12本のボルトで締め付けるだけで、ねじ接合のように管のねじ切り、ねじ込み等の作業を要しない。

(イ) ビクトリック・ジョイントによる接合は、管端部の外周に鉄リングを溶接し、これを金属製の半円形カラー2個ではさみ付け、2本のボルトで締め付けるだけで、フランジ接合より更に作業が簡易である。

 以上のほか、前記の歩掛かりは、駅舎、アパート等の内部に配管する屈折の多い場所を対象としたものであるので、管の切断加工作業をも想定しているものであるが、本件配管工事における直管の配管は定尺もの(5.5m)をほとんど切断することなく使用することができるので、作業は更に容易になると認められ、これらのことからみても、本件配管工事の積算に当たって前記の歩掛かりを適用したのは適切とは認められない。
 一方、前記の積算要領には、鋳鉄管配管のフランジ接合の場合の歩掛かりも示されていて、その接合は本件鋼管のフランジ接合の場合と同一であるが、本件工事の場合は鋳鉄管より重量が軽い鋼管を配管するのであるから、本件配管のうちフランジ接合及びフランジ接合より作業が簡易なビクトリック・ジョイントによる接合についてはこの歩掛かりを準用するのが適当であったと認められる。仮に、この歩掛かりによって本件配管の布設費を積算すると26,264,065円となり、上記の積算額はこれに比べて12,821,272円が過大であったと認められる。
 いま、上記により工事費を修正計算すると、当局の積算において計上漏れとなっていた管とフランジの溶接費1,138,939円を考慮しても総額57,398,467円となり、本件契約額はこれに比べて約1120万円割高であったと認められる。

(参考図)

(参考図)