昭和４９年度決算検査報告
昭和４９年度の貸付計画は１２６５億円であり、これに対し、貸付実行額は１２１１億９９５０万余円（うち４８年１０月から実施した小企業設備改善資金特別貸付にかかわるもの９４億９９９８万円）で、前年度に比べて１３２億５４４４万余円（うち小企業設備改善資金特別貸付にかかわるもの６８億７７６３万円）増加している。
環境衛生金融公庫は、貸付業務を国民金融公庫、商工組合中央金庫及び市中金融機関に委託していて、貸付実行額を委託先別にみると、国民金融公庫１０３８億６７１７万余円（８５．７％）、商工組合中央金庫８億４３５４万円（０．７％）、市中金融機関１６４億８８７８万余円（１３．６％）となっている。貸付実行額を資金用途別にみると、その主なものは、衛生設備及び近代化設備５６７億３０９７万余円、店舗等４９０億８０３４万余円で、前年度に比べてそれぞれ４５億２０９６万余円、１７億８７８６万余円増加している。また、貸付実行額を業種別にみると、その主なものは、飲食店関係営業６４０億３４５８万余円、ホテル・旅館業１５８億１０６８万余円で、前年度に比べてそれぞれ６６億１０８１２万余円、１６億００２１万余円増加している。なお、４９年１０月、基準利率を従前の年８．９％から年９．４％に引き上げている。
貸付実行額から回収額等７３０億３７２７万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は４８１億６２２３万余円であり、年度末貸付金残高は３１万余件２８９４億０５７１万余円となっている。このうち弁済期限を６箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高は１７億２９５２万余円（うち１年以上延滞のものは９億５４５１万余円）で、前年度末に比べて７億１１９６万余円（１年以上延滞のものでは１億９０４８万余円）増加している。
４９年度中の資金交付額は１２１４億９３６４万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金１１４０億円及び回収金等７４億９３６４万余円を充当している。
４９年度において、利益は、貸付金利息２１９億６２６９万余円、一般会計より受入２４億０７４１万余円等２５７億４０５５万余円、損失は、借入金利息１７５億８１８２万余円、業務委託費６０億７８１４万余円、事務費３億５３２４万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で２４９億８８２０万余円となり、差額７億５２３４万余円の全額を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入れ額は年度末貸付金残高（資金未交付額を除く。以下同じ。）の１，０００分の２．６０に相当し、これを加えた滞貸償却引当金３８億７９３４万余円は年度末貸付金残高の１，０００分の１３．４５となり、累積限度額の２７．１７％になっている。
４９年度の総収益率は８．９１％で、前年度に比べて０．３５％上昇しており、これは、前年度に実施した貸付利率の引上げが影響したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率は８．６２％で、前年度に比べて０．３５％上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したことなどによるものである。また、滞貸償却引当金繰入れ率は０．２８％で、前年度とほぼ同率となっている。なお、一般会計からの受入れ額を除いた収益率は８．００％となり、上記の経費率を０．６２％下回っている。