第三、第四、第五各港湾建設局から補助金の交付を受けて兵庫県ほか4事業主体(注1) が昭和49、50両年度中に施行している姫路港臨港道路改良工事(姫港第13号)ほか25工事(工事費総額9億9030万余円、国庫補助金4億9297万余円)について検査したところ、次のとおり、アスファルト舗設費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の26工事は、いずれも臨港地区内における臨港交通施設としての道路(以下「臨港道路」という。)を新設するものであるが、工事費積算の内訳についてみると、アスファルト舗設費(舗設面積合計456,747m2 、積算額3億4749万余円)については、各事業主体がこの種工事に適用するものとして定めている積算基準に示されているアスファルト舗設歩掛かりにより、工事現場付近に25t/h級のアスファルトプラント(注2) を一律に仮設することを前提とし、このプラントのアスファルト合材供給能力1時間当たり22.5tに応じたアスファルトフィニッシヤ、マカダムローラ及びタイヤローラ各1台の組合せにより施工することとして算定していた。
しかして、本院が前記の各工事について施工の実態を調査したところ、近年では、比較的大規模なプラントが各地に常設されているところから工事を施工する際は、その都度アスファルトプラントを仮設することなくこれらの常設のプラントで生産される合材を使用するのが一般的となっている状況である。また、本件臨港道路の新設は、供用開始前の比較的広く平たんな場所で施工されるもので、一般の交通を確保するため工事を中断するなどの必要もなく施工条件が良好であるので、25t/h級を超える比較的大規模な常設プラントと、その合材供給能力に応じた高能率のアスファルトフィニッシャ等の舗設機械との組合せにより施工されており、既に一部の事業主体は、これらの施工の実態に合わせてアスファルトプラントの規模を40t/h又は60t/h級とし、その合材供給能力によりアスファルト舗設費を算定している状況であった。これらの点からみて、本件工事の積算に当たっては、40t/h級程度の常設プラント及びこれに対応したアスファルトフィニッシャ等の組合せを採用するなどの配慮の要があると認められた。したがって、前記の各工事について適切と認められる計算により積算したとすれば、積算額を約3883万円(国庫補助金相当額1934万円)程度低減できたと認められた。
上記について当局の見解をただしたところ、運輸省では、51年11月に各港湾建設局等に対して通達を発し、港湾関係補助事業の審査に当たっては、臨港道路新設工事におけるアスファルト舗設費の積算が常設プラントの現況及び施工の実態に適合した歩掛かりにより算定されているかどうかを特に確認することを指示するとともに、各事業主体に対してこの主旨を周知徹底させる処置を講じた。
(注1) 兵庫、岡山、山口、大分各県、四日市港管理組合
(注2) アスファルトプラント アスファルト合材を製造する設備。アスファルト合材は、アスファルト、骨材、石粉を加熱混合したもので、舗装の材料として使用される。