(昭和51年7月13日付け51検第288号 郵政大臣あて)
郵政省及び東京ほか3郵政局(注) が、昭和49、50両年度に契約した足立郵便局電気設備工事ほか19工事(工事費総額17億1861万余円)について検査したところ、次のとおり、予備発電設備(積算額2億0362万余円)の設計が適切でなかったため、不経済な結果となっていると認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の20工事では、電力会社から供給を受けている電気が停電した際の電燈用及び動力用の電源に使用する予備発電設備として発動発電機(ディーゼル機関等で駆動する発電装置。本件各工事で設置したのは発電出力10KVAのものから125KVAのもの)を設置しており、その構造仕様についてみると、同省が定めた郵便局電気設備設計基準及び郵政省電気設備工事標準仕様書に基づいて設計されていて、いずれも船舶に発電設備としてとう載されている種類のもの(以下「船舶型」という。)となっている。
しかして、発動発電機には、船舶型のほか、車両用ディーゼル機関と発電機とを組み合わせたもの(以下「車両型」という。)があり、車両型は、船舶型の場合と同様、発電設備として設置する場合には、発動機の材質、構造等が電気事業法(昭和39年法律第170号)の規定に基づいて通商産業大臣が定めた発電用火力発電設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通商産業省令第60号)に規定する技術基準に適合しなければならないこととされているものであるから、性能的にも支障がないと認められ、しかも、本件各工事で設置している程度の出力のものの場合には、車両用ディーゼル機関が量産化されているので、船舶型に比べて価格が著しく低廉となっていて、一般に予備発電設備等として多数使用されている状況である。また、運転経費等についても、か働時間の極めて少ない予備発電設備の場合には、車両型と船舶型との間に特に差異はないと認められる。
このようなことからみて、本件各工事においても車両型を設置することとして設計すべきであったと認められ、これによったとすれば、積算額を約6500万円程度低減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、同省における予備発電設備に関する設計基準等が船舶型を前提としたものとなっていて、最近における予備発電設備の供給、使用の実態に適合していないこと及び設計担当者が車両型の採用について考慮を払っていないことによると認められる。
ついては、同省においては、今後ともこの種工事を多数施行することが見込まれるのであるから、速やかに前記の設計基準及び標準仕様書を改定して車両型採用のみちを開くとともに関係者に対して適切な指導を行い、もって経費の節減を図る要があると認められる。
上記のとおり処置を要求したところ、郵政省では、51年11月に発動発電機の容量が150KVA以下のものについては原則として車両型を採用するよう郵便局電気設備設計基準及び郵政省電気設備工事標準仕様書を改定する処置を講じた。
(注) 東京、東海、近畿、四国各郵政局