ページトップ
  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

緩急車等の暖房用燃料積込み作業について処置を要求したもの


(1) 緩急車等の暖房用燃料積込み作業について処置を要求したもの

(昭和51年11月24日付け51検第453号 日本国有鉄道総裁あて)

 日本国有鉄道首都圏本部管内の東京北、東京南、東京西各鉄道管理局では、寒冷期に運行する貨物列車に連結する緩急車(注) 又は車掌車(注) (以下「緩急車等」という。)に対し、業務委託等により暖房用燃料の積込み作業を実施しており、昭和50年10月から51年4月までの間におけるこれら燃料積込み経費の総額は1億0512万余円に上っているが、その作業状況について検査したところ、次のとおり、積込み方法等が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、前記の各鉄道管理局では、原則として操車場又は駅(以下「操車場等」という。)から次に停車する操車場等までの燃料消費量(操車場等間の運転時分×運転1時間当たりの標準燃焼量、灯油の場合1l、石炭の場合2kg)に見合うだけの灯油又は石炭を操車場等ごとに積み込むこととしており、このため、田端ほか21操車場等において1車1回当たり平均で灯油2.4l又は石炭4.8kg程度を積み込んでいる。その一例を挙げると、根岸駅(根岸線)発倉賀野駅(高崎線)行き専用貨物列車は、運行中に高島駅及び新鶴見、大宮両操車場に途中停車することになっていて、高島駅で新鶴見操車場までの運転時分139分の消費量として灯油2.5l又は石炭5kgを(根岸駅から高島駅までの分は、根岸駅への往路において高島駅で積み込んでいる。)、また、新鶴見操車場で大宮操車場までの運転時分75分の消費量として灯油1.4l又は石炭2kgを、更に、大宮操車場では倉賀野駅までの運転時分90分の消費量として灯油1.5l又は石炭3kgをそれぞれ積み込んでいる。

 しかし、これら緩急車等に備え付けられている燃料容器の容量は灯油の場合40l又は50l、石炭の場合45kgであるから、現行のように操車場等ごとに少量を積み込む方法に代え、1車1回当たりの積込み量を容器の容量に見合ったものとすることにより、積込み箇所数及び緩急車等当たりの積込み回数を減らすことができ、ひいては燃料積込み経費を相当程度節減することができると認められる。

 いま、仮に前記の各鉄道管理局が貨物列車のダイヤに基づいて積込み箇所を調整し容器に見合う数量を積み込むこととすれば、前記積込み操車場等22箇所は17箇所となり、また、1日当たりの積込み人工計81.07人は61.69人(ダイヤ改正前の51年2月までの78.07人は57.69人)で足り、積込み経費1億0512万余円は約2100万円程度節減できる計算となる。

 このような事態を生じたのは、各鉄道管理局が緩急車等への燃料積込みについて、所属各車掌区等の乗務員の乗務区間の消費量だけを積み込めば足りるとする長年の慣行によっていたこと、及び本社が本件作業の実態をは握して、これに対する適切な指導を行う配慮に欠けていたことなどによると認められる。

 ついては、50年度寒冷期における緩急車等に対する暖房用燃料積込み経費は前記3鉄道管理局分を含めて総額2億8093万余円にも及んでおり、また、この積込み作業は今後も引き続き実施されるのであるから、上記のような事態をかえりみて、本社が緩急車等の運用に適合した燃料積込み方法、関係局間の調整等に関する取扱方針を定めるとともに、各鉄道管理局ではこの方針にのっとり合理的、経済的な積込み作業を実施し、もって経費の節減を図る要があると認められる。

 (注)  緩急車、車掌車 乗務員が執務できる車室が設けられ、空気ブレーキ用車掌弁等を備えた車両で、緩急車にはこのほか貨物積載用のスペースもある。