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  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

特急券等の準備について処置を要求したもの


(2) 特急券等の準備について処置を要求したもの

(昭和51年11月26日付け51検第456号 日本国有鉄道総裁あて)

 日本国有鉄道北海道、四国両総局及び釧路ほか26鉄道管理局(注) (以下「総局等」という。)管内の駅、車掌区及び乗車券類委託販売業者の営業所等(以下「駅等」という。)における特別急行券、特別車両券、寝台券等乗車券類のうち料金関係のもの(以下「特急券等」という。)の保有等について検査したところ、次のとおり、保有数量が著しく過大であったり、料金改定に対する処置が適切でないため多量の特急券等を廃棄したりしている事態が見受けられた。

 すなわち、駅等における特急券等の準備については、総局等で定めている乗車券類取扱いの基準規程に従って、通常の場合、駅等における保有数量が所定の数量(2箇月から4箇月分の発売予定数量)を下回ったとき、販売実績等を考慮した算定基準により請求数量を算出して印刷場に直接請求することとしている。

 しかし、駅等における特急券等の保有及び請求の実情を調査したところ、基準規程の趣旨が徹底していなかったなどのため、上記の所定の数量を上回って保有しているのに請求したり、算定基準により算定された数量を大幅に上回る数量を請求したりしていたなどのため、昭和50年9月末現在における総局等の総保有数量は、上記の基準規程に基づいて適正に請求していた場合保有していたと認められる数量7544万余枚の2.3倍に相当する1億7268万余枚に上っている状況であった。

 また、料金改定時における請求及び印刷の実情を調査したところ、50年9月に特別急行料金、特別車両料金、寝台料金等(以下「特急料金等」という。)の改定実施に備えて本社から旧料金表示の特急券等(以下「旧券」という。)の過渡的使用と新料金による特急券等の準備方について通達が発せられるなどしているところから、同月中には料金改定の実施期日が明らかとなっていたと認められるのに、駅等では10月の請求に当たっても依然として旧券を請求していたり、印刷場では10月以降は旧券の印刷をとりやめる配慮をするべきであったのに10月以降も駅等の請求どおり旧券を印刷したりしていて、10月以降に印刷された旧券が1518万余枚もある状況であった。

 以上のような状況であったため、日本国有鉄道が50年11月20日から特急料金等の改定を実施(同年9月16日運輸大臣に申請し、同年11月12日申請どおりの認可を得ている。)したことに伴い、駅等において保有していた旧券は、そのうち「料金変更」の印を押なつするなどして過渡的に当分の間使用できるものを除き1億2301万余枚(札幌ほか8印刷場における製作価額2億3171万余円)を総局等でとりまとめてすべて廃棄処分している状況である。しかし、このうち少なくとも1億0170万余枚(約1億8850万円)については、駅等において特急券等の保有数量が適正であり、また、50年10月以降旧券の印刷をとりやめていたとすれば、これを廃棄処分するような事態は生じなかったと認められる。

 このような事態を生じたのは、駅等が特急券等の請求を所定の基準どおり行わなかったことにもよるが、駅等を管理する総局等が乗車券類の保有及び請求の適否について指導、監督を適切にしていなかったこと、料金改定時において、請求及び印刷数量の調整など適時、適切な処置を講じなかったことによると認められる。

 ついては、総局等の管理機関においては、駅等に対して乗車券類の保有及び請求について、基準規程の趣旨を徹底させるとともに、駅等における乗車券類保有及び請求の適否について適切な調査、指導、監督の充実を図り、また、料金等の改定時には、駅等及び印刷場に対して新・旧券の請求及び印刷について、適切な処理を指示するなどして大量に廃棄するような事態を招かないように配意する要があると認められる。

(注)  釧路、旭川、青函船舶、盛岡、秋田、仙台、新潟、高崎、水戸、千葉、東京北、東京南、東京西、長野、静岡、名古屋、金沢、大阪、天王寺、福知山、米子、岡山、広島、門司、大分、熊本、鹿児島各鉄道管理局