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  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

C460形標準局における予備電源装置の設計について処置を要求したもの


C460形標準局における予備電源装置の設計について処置を要求したもの

(昭和51年11月16日付け51検第438号 日本電信電話公社総裁あて)

 日本電信電話公社が昭和50年度中にC460形標準局(注) 213局の開局に伴う工事に支給して設置した予備電源装置(支給総額5億7945万余円)について検査したところ、次のとおり、設計の基準が実情に適合していなかったため、不経済な結果になっている点が見受けられた。

 すなわち、これらの予備電源装置は、電力会社から供給を受けている電気が停電した場合に電話交換機等を動作させるための電源装置として蓄電池を設置したものであるが、その容量規格の設計についてみると、同公社施設局が42年9月に制定した電気通信技術標準実施方法C460形自動交換機用電源装置設計(以下「標準設計」という。)において、設計作業の省力化を図るため、開局15年後の予測加入数等により計算した所要電流(以下単に「所要電流」という。)に応じ、3段階に区分した容量規格(120A(アンペア)以下にあっては1320AHPS形、120Aを超え400A以下にあっては、3年後の所要電流の大きさに応じ1980AHPS形又は2860AHEP形)を設定し、この中から設置局の所要電流に対応するものを選択することとされているので、上記213局の新設工事を担当した各電気通信局等においては、いずれもこの基準に従って、設置する蓄電池の容量を決定している。

 しかし、標準設計において1,320AH(アンペアアワー)を蓄電池の最下位容量と定めているため、必要とする蓄電池の容量が小さいのに、基準どおりの1,320AHのものを設置することとなったものなど、実際に必要とする容量の蓄電池より上位容量の蓄電池を設置することとなったものが76局(予備電源装置支給総額1億8179万余円)について見受けられ、これらについて必要な容量の蓄電池を設置したとすれば約5700万円程度節減できたと認められる。

 このような事態を生じたのは、42年9月の標準設計制定当時は、C460形標準局を設置する電話加入区域の大部分が加入者の大幅な増加の見込まれる市街地周辺であったため、設置局の所要電流も一般に大きく、最下位容量を1,320AHとしている標準設計でも実情に適合していたが、近年、自動改式等の進展に伴って加入者の大幅な増加が見込まれない町村部に設置区域が移ってきたため、所要電流の小さい局が増加したのに伴って標準設計で定める最下位容量の1,320AHより下位の容量の蓄電池で足りる場合が増加しているのに、この点を配慮しなかったことなどによると認められる。

 ついては、同公社においては、今後とも町村部におけるC460形標準局の開局に伴う予備電源装置の設置が引き続き多数見込まれているのであるから、速やかに標準設計を実情に合ったものに改めるなど同装置の経済的な設計について配慮し、もって経費の節減を図る要があると認められる。

(注)  C460形標準局 日本電信電話公社が定めた電話交換局の標準タイプの一種で、C460形自動交換機(開局15年後の予測加入数が10,000加入以下で、開局5年後の予測加入数が800加入を超える場合に設置される。)を設置している。