関東ほか8電気通信局(注1) 及び新潟ほか4無線通信部(注2) で昭和50年度中に施行している三舟無線中継所道路新設工事ほか34工事(工事費合計52億0376万円)について検査したところ、次のとおり、道路工事の切り取り掘削費及び法(のり)面保護用モルタル吹き付け費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
(1) 切り取り掘削費(積算額3億8708万余円)については、日本電信電話公社が定めた標準歩掛かりに基づき各電気通信局が算定した複合単金を適用し、硬岩及び軟岩は切り取り掘削量のうち122,719m3 の岩砕を、また、土砂等は切り取り掘削量のうち59,554m3 をいずれも人力で排土することとして積算していた。しかして、上記の標準歩掛かりは、38年に定められたもので、岩の切り取り掘削及び土砂等の人力による切り取り掘削と組み合わせた排土歩掛かりが人力施工を前提としたものだけとなっているが、近年では、本件のように大量の切り取り掘削を施工する場合の排土作業はトラクタショベル等の機械で経済的に施工するのが通例であって、本件工事の施工の実態を調査した結果も、排土作業は経済的な機械施工によっている状況であった。したがって、このような施工の実態に適合した積算をしたとすれば、積算額を約9100万円程度低減できたと認められた。
(2) 法(のり)面保護用モルタル吹き付け費(積算額1億1562万余円)については、前記同様、同公社が定めた標準歩掛かりに基づき算定した複合単金を適用し、面積28,156m2 を施工することとして積算していた。しかして、法(のり)面に施工する排水用の水抜きパイプは、標準仕様書及び詳細図によれば硬質塩化ビニル管の一般管を吹き付け面積1m2 当たり換算0.04m施工することとしているのに、上記の標準歩掛かりには、誤って、水道用耐衝撃性硬質塩化ビニル管を吹き付け面積1m2 当たり換算0.3m施工することとした場合のものが示されており、しかも、同管の長さ4mの単価を誤って1mの単価として上記の複合単金が算定されていた。したがって、これらを適正なものに修正して積算したとすれば、積算額を約1900万円程度低減できたと認められた。
上記について当局の見解をただしたところ、日本電信電話公社では、切り取り掘削費については51年10月に、モルタル吹き付け費については同年8月にそれぞれ標準歩掛かり及び複合単金を適正なものに改める処置を講じた。
(注1) 関東、信越、東海、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各電気通信局
(注2) 新潟、大阪、福岡、仙台、札幌各無線通信部