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  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

国民金融公庫


第4 国民金融公庫

(事業概要について)

 昭和50年度の貸付計画は、当初1兆3118億円であったが、その後の改定により1兆4581億円となった。これに対し、貸付実行額は1兆4523億4353万余円で、前年度に比べて1561億1062万余円増加している。これを貸付種類別にみると、その主なものは、普通貸付1兆3886億4907万余円(うち小企業経営改善資金貸付にかかわるもの2343億8672万円)、恩給担保貸付631億4423万余円で、前年度に比べて普通貸付で1517億6073万円(うち小企業経営改善資金貸付にかかわるもの1154億8307万円)、恩給担保貸付で38億5506万余円増加している。なお、50年11月に基準利率を従前の年9.4%から年8.9%に引き下げている。

 貸付実行額から回収額1兆1838億8913万余円及び滞貸償却額2億5338万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は2682億0101万余円であり、年度末貸付金残高は211万余件2兆0148億1253万余円(うち代理貸付けは21万余件2271億9891万余円)となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高は174億6657万余円(うち1年以上延滞のものは106億0467万余円)で、前年度末に比べて83億2955万余円(1年以上延滞のものでは51億7482万余円)増加している。

 50年度中の資金交付額は1兆4524億8972万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金7077億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金340億円、一般会計からの借入金157億円及び回収金等6950億8972万余円を充当している。

 環境衛生金融公庫からの受託業務においては、50年度中の貸付額は1387億8884万余円、回収額等は797億6028万余円で、年度末貸付金残高は2997億8212万余円となっている。

(損益について)

 50年度において、利益は、貸付金利息1686億5089万余円、受託手数料60億9052万余円、小企業経営改善資金の貸付けにかかわる一般会計からの補給金の受入れ8億3100万円、滞貸償却引当金れい入413億6369万余円等2223億5453万余円、損失は、借入金利息1342億6263万余円、事務費227億2304万余円、業務委託費55億5987万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で1731億3127万余円となり、差額492億2326万余円の全額を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。なお、滞貸償却引当金については、従来、滞貸償却引当金に追加する額を損失に計上することとしていたが、50年度においては、前年度末の滞貸償却引当金の残高を利益にれい入するとともに、滞貸償却引当金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の26.4相当額以内の金額を損失に計上することとなった。この繰入れ額492億2326万余円は年度末貸付金残高の1,000分の24.45に相当し、繰入限度額の92.62%となっている。

 50年度の総収益率国民金融公庫の図1は8.61%で、前年度に比べて0.41%上昇しており、これは、貸付利率の引下げがあったものの、前年度に実施した貸付利率の引上げが影響したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率国民金融公庫の図2は8.20%で、前年度に比べて0.36%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したことなどによるものである。なお、総収益率は滞貸償却引当金繰入れ前の経費率を0.41%上回っている。