昭和50年度において、貸付業務では、計画は、当初1兆2872億円であったが、その後の改定により1兆5194億円となった。これに対し、貸付契約額は1兆5131億3596万円で、前年度に比べて4057億1135万円増加している。
貸付契約額を貸付けの種別ごとにみると、次のとおりである。
一般住宅資金貸付 | 1兆2719億5579万円 | |
産業労働者住宅資金貸付 | 13億0896万円 | |
市街地再開発住宅等資金貸付 | 1007億0581万円 | |
関連公共施設等資金貸付 | 104億1440万円 | |
宅地造成資金貸付 | 1287億5100万円 |
このうち、前年度に比べて増加の著しいものは、一般住宅資金貸付(3505億0309万円増)及び市街地再開発住宅等資金貸付(354億9325万円増)である。
50年度の貸付実行額は、前年度までの貸付契約に基づいて50年度に貸付実行した分を含め1兆2850億2095万余円で、前年度に比べて2268億7989万余円増加している。なお、50年12月に貸付利率の一部について改定しており、その主なものをみると、一般住宅資金貸付のうち民間団地分譲住宅建設資金貸付については、従前の年9.0%から年8.5%に引き下げ、また、宅地造成資金貸付のうち地方公共団体等に対する宅地造成資金貸付については、従前の年8.8%から年8.3%に引き下げている。
貸付実行額から回収額等2180億1982万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は1兆0670億0113万余円であり、年度末貸付金残高は242万余件4兆1240億0657万余円となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は5億0274万余円(うち1年以上延滞のものは3億2754万余円)で、前年度末に比べて2億1308万余円(1年以上延滞のものでは5897万余円)増加している。
50年度中の資金交付額は1兆2850億2034万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金1兆1490億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金500億円、宅地債券の発行による収入金18億4031万余円及び回収金等841億8003万余円を充当している。
また、住宅融資保険業務では、金融機関との間に保険関係が成立する保険金額を1620億円と予定した。これに対し、保険関係が成立した保険金額は617億4121万余円となっている。
50年度において、貸付業務では、利益は、貸付金利息2117億8577万余円、一般会計より受入550億0600万円、滞貸償却引当金れい入142億9725万余円等2893億5335万余円、損失は、借入金利息2387億3704万余円、業務委託費169億9298万余円、事務費60億8422万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で2747億4273万余円となり、差額146億1062万余円の全額を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。なお、滞貸償却引当金については、従来、滞貸償却引当金に追加する額を損失に計上することとしていたが、50年度においては、前年度末の滞貸償却引当金の残高を利益にれい入するとともに、滞貸償却引当金への繰入れ額は年度末貸付金残高の1,000分の18相当額以内の金額を損失に計上することとなった。この繰入れ額146億1062万余円は年度末貸付金残高の1,000分の3.54に相当し、繰入限度額の19.68%となっている。
また、住宅融資保険業務では、利益は7億9875万余円、損失は7億9756万余円で、差引き118万余円の利益金を生じたので、これを積立金として積み立てた。
50年度の総収益率は7.48%で、前年度に比べて0.31%上昇しており、これは、一般会計からの受入額が219億2600万円増加したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率は7.47%で、前年度に比べて0.37%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したことなどによるものである。なお、総収益率は滞貸償却引当金繰入れ前の経費率を0.009%上回っており、一般会計からの受入額を除いた収益率5.88%は、上記の経費率を1.58%下回っている。