昭和50年度の貸付計画は、当初8944億円であったが、その後の改定により1兆0624億円となった。これに対し、貸付実行額は1兆0762億0039万余円で、前年度に比べて1034億8303万円増加している。
貸付実行額から投資育成会社貸付金17億円及び設備貸与機関貸付金85億3437万余円を除いた1兆0659億6602万円を貸付方式別にみると、直接貸付け5837億6380万円(54.8%)、代理貸付け4822億0222万円(45.2%)である。また、これを資金使途別にみると、設備資金5080億0954万余円(47.7%)、運転資金5579億5647万余円(52.3%)となっている。なお、50年11月に基準利率を従前の年9.4%から年8.9%に引き下げている。
貸付実行額から回収額等7239億1314万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は3522億8724万余円であり、年度末貸付金残高は2兆4288億6584万余円となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は104億4478万余円(うち1年以上延滞のものは72億2984万余円)で、前年度末に比べて44億0620万余円(1年以上延滞のものでは28億6278万余円)増加している。50年度中の資金交付額は1兆0624億0959万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金6150億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金400億円、債券発行による収入金599億8385万円及び回収金等3474億2574万余円を充当している。
また、50年度末における東京、名古屋及び大阪の各中小企業投資育成株式会社に対する出資金残高は4億0500万円で、前年度末に比べて1億3600万円減少している。これは、各会社が発行し公庫が引き受けた優先株式が、当該各会社の49営業年度利益処分により消却されたことによるものである。
50年度において、利益は、貸付金利息1992億5714万余円、滞貸償却引当金れい入378億4139万余円等2483億4285万余円、損失は、借入金利息1280億9590万余円、債券利息336億4437万余円、業務委託費173億5187万余円、事務費91億4185万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で2031億9406万余円となり、差額451億4879万余円の全額を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。なお、滞貸償却引当金については、従来、滞貸償却引当金に追加する額を損失に計上することとしていたが、50年度においては、前年度末の滞貸償却引当金の残高を利益にれい入するとともに、滞貸償却引当金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の26.4相当額以内の金額を損失に計上することとなった。この繰入れ額451億4879万余円は年度末貸付金残高の1,000分の19.05に相当し、繰入限度額の72.17%となっている。
50年度の総収益率は8.40%で、前年度に比べて0.49%上昇しており、これは、貸付利率の引下げがあったものの、前年度に実施した貸付利率の引上げが影響したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率は8.06%で、前年度に比べて0.33%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したことなどによるものである。なお、総収益率は滞貸償却引当金繰入れ前の経費率を0.33%上回っている。