昭和50年度の貸付計画は、当初1530億円であったが、その後の改定により1614億円となった。これに対し、貸付実行額は1613億0049万余円(うち小企業設備改善資金特別貸付にかかわるもの148億8624万円)で、前年度に比べて401億0099万余円(うち小企業設備改善資金特別貸付にかかわるもの53億8626万円)増加している。
環境衛生金融公庫は、貸付業務を国民金融公庫、商工組合中央金庫及び市中金融機関に委託していて、貸付実行額を委託先別にみると、国民金融公庫1387億8884万余円(86.0%)、商工組合中央金庫4億4986万円(0.3%)、市中金融機関220億6179万余円(13.7%)となっている。貸付実行額を資金用途別にみると、その主なものは、衛生設備及び近代化設備749億8852万余円、店舗等641億2062万余円で、前年度に比べてそれぞれ182億5755万余円、150億4028万円増加している。また、貸付実行額を業種別にみると、その主なものは、飲食店関係営業909億5619万円、ホテル・旅館業196億8699万円で、前年度に比べてそれぞれ269億2160万余円、38億7630万余円増加している。なお、50年11月に基準利率を従前の年9.4%から年8.9%に引き下げている。
貸付実行額から回収額等898億7602万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は714億2446万余円であり、年度末貸付金残高は33万余件3608億3017万余円となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高は26億5206万余円(うち1年以上延滞のものは16億8890万余円)で、前年度末に比べて9億2254万余円(1年以上延滞のものでは7億3438万余円)増加している。
50年度中の資金交付額は1605億5878万余円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金1510億円及び回収金等95億5878万余円を充当している。
50年度において、利益は、貸付金利息280億9575万余円、一般会計より受入5億9443万円、滞貸償却引当金れい入38億7934万余円等342億5380万余円、損失は、借入金利息233億4070万余円、業務委託費70億9391万余円、事務費4億3618万余円等滞貸償却引当金繰入れ前で321億0765万余円となり、差額21億4614万余円の全額を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。なお、滞貸償却引当金については、従来、滞貸償却引当金に追加する額を損失に計上することとしていたが、50年度においては、前年度末の滞貸償却引当金の残高を利益にれい入するとともに、滞貸償却引当金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の18相当額以内の金額を損失に計上することとなった。この繰入れ額21億4614万余円は年度末貸付金残高の1,000分の5.97に相当し、繰入限度額の33.21%となっている。
50年度の総収益率は8.52%で、前年度に比べて0.38%低下しており、これは、一般会計からの受入額が18億1298万余円減少したことなどによるものである。滞貸償却引当金繰入れ前の経費率は9.05%で、前年度に比べて0.42%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したことなどによるものである。なお、総収益率は滞貸償却引当金繰入れ前の経費率を0.52%下回っており、一般会計からの受入額を除いた収益率8.34%は、上記の経費率を0.71%下回っている。