昭和50年度の貸付承諾額は9597億3638万余円で、前年度に比べて480億8696万余円減少している。これは、輸出金融は2149億7285万円増加したが、輸入金融が1230億0062万余円、外国政府等に対する借款が1185億2710万余円、海外投資金融(海外事業金融を含む。以下同じ。)が204億6588万余円減少したことなどによるものである。
50年度の貸付実行計画は、当初、前年度までの承諾に基づいて50年度に貸付実行の計画をした分を含め9030億円であったが、その後の改定により9600億円となった。これに対し、貸付実行額は9105億6720万余円で、前年度に比べて1925億0449万余円増加している。
貸付実行額のうち、輸出金融は4057億3405万円で、前年度に比べて1515億5615万円増加しており、このうち電気・通信機械等のプラントは3340億8890万円で1770億4745万円増加しているが、船舶は716億4515万円で254億9130万円減少している。輸入金融は1808億6851万余円で254億2638万余円減少しており、海外投資金融は1319億9489万余円で50億7644万余円減少している。また、外国政府等に対する借款は1913億2024万余円で716億6986万余円増加している。
貸付実行額9105億6720万余円(うち外貨貸付金650億8212万余円)から回収額3550億7117万余円(うち外貨貸付金161億4596万余円)を差し引いた貸付金の年間純増加額は5554億9603万余円であり、年度末貸付金残高は3兆3611億9677万余円(うち外貨貸付金4083億9762万余円)となっている。なお、貸付金にかかわる外貨建て債権に為替差損の生じたものの一部について、償還期限が到来した元金のうちの差損相当額の償還を猶予しており、年度末の償還猶予額は958億9955万余円となっている。
50年度中の資金交付額は9105億6720万余円で、この原資には、産業投資特別会計からの出資金620億円、資金運用部資金からの借入金6645億円及び回収金等1840億6720万余円を充当している。
50年度において債務を保証した額は330億5377万余円、減少した保証債務額は106億0735万余円で、年度末保証債務(支払承諾)残高は638億6624万余円となっている。保証債務の減少のうち17億4883万余円はインド政府、16億0399万余円はパキスタン政府に対する借款にかかわる市中銀行の協調融資分で50年度中に償還期限が到来したものについて保証債務を履行したものである。
インド及びパキスタン政府に対する借款については、前年度に引き続き債権繰延べ措置を講じており、インド政府については、50年度中に償還期限が到来した元本の一部105億0746万余円及び前記保証債務履行にかかわる17億4883万余円についてその償還条件を60年10月まですえ置き後20年間の均等半年賦払いに変更し、貸付利率を年2.5%(従前の貸付利率年4.0%ないし年6.25%)に引き下げ、また、パキスタン政府については、50年7月から51年6月までの間に償還期限が到来する元本の一部81億5280万余円(うち50年度末までの分70億7580万余円)及び前記保証債務履行にかかわるもののうち5億9957万余円についてその償還条件を60年11月まですえ置き後20年間の均等半年賦払いに変更し、貸付利率を年2.5%(従前の貸付利率年4.0%ないし年6.0%)に引き下げた。インド政府に対する借款の年度末残高は1939億2517万余円、パキスタン政府に対する借款の年度末残高は629億6746万余円となっている。
50年度の一般勘定において、利益は、貸付金利息1910億7830万余円、貸倒準備金れい入380億0509万余円等2627億9807万余円、損失は、借入金利息1893億2087万余円、事務費34億2229万余円等貸倒準備金繰入れ前で2128億6949万余円となり、差額499億2858万余円の全額を貸倒準備金に繰り入れたため利益金を生じなかった。
なお、貸倒準備金については、従来、貸倒準備金に追加する額を損失に計上することとしていたが、50年度においては、前年度末の貸倒準備金の残高を利益にれい入するとともに、貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高の1,000分の18相当額以内の金額を損失に計上することとなった。この繰入れ額499億2858万余円は年度末貸付金残高の1,000分の14.96に相当し、繰入限度額の83.14%となっている。
50年度の総収益率は5.73%で、前年度に比べて0.39%上昇しており、これは、前年度に実施した貸付利率の引上げが影響したことなどによるものである。貸倒準備金繰入れ前の経費率は5.34%で、前年度に比べて0.37%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したこと、貸付けの原資に占める借入金の構成割合が増加したことなどによるものである。なお、総収益率は貸倒準備金繰入れ前の経費率を0.39%上回っている。
また、インドネシア共和国の中央銀行に対する借款にかかわる債権繰延べ関係の経理を整理する特別勘定においては、1億0227万余円の利益金を生じ、これを全額積立金として積み立てた。