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  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第18 新東京国際空港公団|
  • 特に掲記を要すると認めた事項

新東京国際空港の開港について


 新東京国際空港の開港について

 新東京国際空港(以下「新空港」という。)は、航空輸送需要の急激な増加等に対処するため建設が計画されたものである。この新空港の建設と経営の業務を行わせるため昭和40年6月に新東京国際空港公団法が成立し、翌41年7月に新東京国際空港公団が発足した。そして、新空港の位置及び規模について同月閣議決定が行われ、千葉県成田市三里塚を中心とする地域に新空港を建設し、その敷地面積は1,060ha程度とする方針が確定した。同公団においては、同年12月に運輸大臣が指示した基本計画に基づき、上記の地域に敷地面積約1,065haの新空港を建設することとし、次の工事計画を樹立した。

(1) 第1期計画としては、4,000mの主滑走路及びこれに対応する誘導路、エプロン、航空保安施設、並びに旅客、貨物取扱施設、給油施設等の諸施設を建設し、46年4月1日に供用を開始する。

(2) 引き続き第2期計画としては、3,200mの横風用滑走路及び2,500mの平行滑走路並びにこれに対応する誘導路、エプロン、航空保安施設等を建設し、49年4月1日から全面的に使用する。

 しかして、新空港の建設状況についてみると、50事業年度末までに、用地取得については、空港用地984ha、航空保安施設用地65ha、その他騒音対策用地等378ha計1,427haを235億9246万余円で取得し、施設については、4,000m主滑走路、誘導路、エプロン及び航空保安施設を250億0626万余円、年間取扱旅客数540万人及び年間取扱貨物量41万tに対応する旅客、貨物取扱施設その他中央冷暖房施設、電力施設及び上下水道施設を448億5710万余円、給油施設を147億2914万余円でそれぞれ建設しており、公団発足以来建設事業に要した費用は上記の施設費等を合わせ総額2191億7625万余円(うち借入金利息379億5959万余円)に上っている。

 上記のうち、新空港の運用に必要な基本的施設は、用地取得が著しく難航したため、第1期計画年次から2年を経過した48年3月ごろに至ってようやくほぼ完成した。しかし、以後3年余を経過した現在(51年10月)においてもいまだに開港するに至っていない。

 このように現在なお開港することができないのは、4,000m主滑走路南側に進入表面の上に出る高さの鉄塔2基が建設され、航空機離着陸の障害物件となっていること、千葉港港頭の給油施設から新空港内に至る延長44kmの送油管の埋設工事について、鉄道、河川、道路の横断部の設計協議や施工に相当の期間を要することとなったなどのため工事が計画どおり進ちょくせず、また、その代替手段として47年8月に採用した航空燃料緊急暫定輸送方式による給油施設の建設も、燃料輸送の安全性について地元住民の理解を得るのに長期間を要したなどのため大幅に遅延しなお完成していないことなどによると認められる。

 新空港建設事業は、政府出資金518億3778万余円のほかは主として新東京国際空港債券の発行等により調達した長期借入金を財源としており、50事業年度末におけるこれら長期借入金の残高は1595億2781万円の多額になっていて、これに対する51事業年度分の支払見込利息額は約119億円である。