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  • 昭和51年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第7 運輸省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

防波堤等築造工事におけるグラブ付自航運搬船による中詰め工費の積算について処置を要求したもの


防波堤等築造工事におけるグラブ付自航運搬船による中詰め工費の積算について処置を要求したもの

(昭和52年11月25日付け52検第436号 運輸大臣あて)

 第一、第三両港湾建設局が昭和51年度に施行した防波堤等築造工事のうち、秋田港南防波堤工事ほか12工事(工事費総額33億7406万余円)について検査したところ、次のとおり、グラブ付自航運搬船(以下「ガット船」という。)によりケーソン等に砂を中詰めする場合の工事費(以下「中詰め工費」という。)の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記13工事はいずれも防波堤及び締切堤等を築造する工事で、このうち中詰め工は、ケーソンの中詰め又は締切堤の中埋め用の砂をガット船で工事現場付近の海底から採取して施工箇所へ運搬投入するものであるが、この中詰め工費の積算については運輸省が定めている「港湾・空港請負工事積算基準」(以下「積算基準」という。)により積載量300m3 、グラブ容量0.8m3 のガット船を使用して施工するものとして、中詰め砂総量268,560m3 分で計2億8121万余円と算定している。

 しかして、上記の積算基準に示されているガット船のグラブ容量は石材、砕石及び土砂等多種にわたる材料を取り扱う場合に対応するものとして44年に定められたもので、以後これを適用して積算しているものである。

 しかし、同省港湾局が刊行している「現有作業船一覧」(昭和50年版)によると、しゅんせつ工事に使用するガット船のうち積載量300m3 級のグラブ容量は平均1.2m3 程度となっている。また、港湾建設局がガット船により中詰め工等を施工している作業の実態について本院が調査したところ、積載量300m3 級のガット船が砂を取り扱う場合の作業には大部分がグラブ容量1.2m3 以上のものを使用している状況であって、前記のグラブ容量0.8m3 のガット船で施工するものとして積算していたのは適切とは認められない。

 いま、本件各工事について、上記の実情を考慮してグラブ容量1.2m3 のガット船で施工するものとして中詰め工費を積算したとすれば積算額を約6500万円程度低減できたと認められる。

 このような事態を生じたのは、近年、ガット船の使用目的が多様化してきたことに伴い、グラブ容量が大型化し、積卸しクレーンの能力が増大するなど作業の能率化が図られており、従来のものと同一積載量のガット船であっても、その能力が向上しているのに、積算基準がこのような施工の実態に対応して整備されていないことによると認められる。

 ついては、同省においては、この種工事を今後も引き続き多数施行するのであるから、早急に施工の実態を調査検討し、積算基準を整備するなどの処置を講じ、もって予定価格積算の適正を期する要があると認められる。