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  • 昭和51年度|
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通信衛星用地上アンテナ設置等工事の施行に当たり、アンテナ組立て及びすえ付け調整費等の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(41) 通信衛星用地上アンテナ設置等工事の施行に当たり、アンテナ組立て及びすえ付け調整費等の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)電波研究所 (項)電波研究所施設費
部局等の名称 郵政省電波研究所
工事名 実験用中容量静止通信衛星主局Cバンドアンテナ、シェルタ設置及び付帯工事
工事の概要 電波研究所鹿島支所敷地内に通信衛星用パラボラアンテナ敷地374m2 を造成して同アンテナの基礎36m2 を施工し、この上に別途の契約により製造済みの同アンテナを組み立ててすえ付け調整するほか機器を収容するシェルタの設置及び擁壁等の土木工事を行うもので、ほかにこれらの工事を行うための設計作業を含む。
工事費 54,000,000円
請負人 日本電気株式会社
契約 昭和51年7月 随意契約
しゅん功検査 昭和51年9月
支払 昭和51年10月

 この工事は、アンテナ組立て及びすえ付け調整費等の積算が適切でなかったため、契約額が約1210万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事の予定価格の内訳についてみると、アンテナ組立て及びすえ付け調整費13,632,998円、土木工事設計費6,902,784円及び現場監督費2,804,256円については、いずれも前記のアンテナを製造した工場の技術者がこれらの作業に当たるものと想定して、電波研究所が制定した「機器製造予定価格積算基準」に基づき、工場技術者の賃金単価により直接労務費をそれぞれ2,212,000円、1,120,000円及び455,000円と算出し、これらに複雑かつ高度な加工を要する機器を製造する場合に適用する乗率(間接経費率380%、一般管理費率20%、利益率7%)を順次乗じて得た間接経費等それぞれ11,420,998円、5,782,784円及び2,349,256円を加算して積算している。

 しかし、アンテナの組立ですえ付け作業は工場で既に試験調整済みのアンテナを現地で組み立ててすえ付けたうえ簡単な調整を行うにすぎず、また、設計作業は敷地造成等の土木工事に関するものであるから、これらの費用の積算に当たり前記乗率を用いるのは適切でないと認められ、更に、現場監督費については、本件工事における敷地造成工事等の各工事種目の諸経費のうちに見込まれているのであるから、改めて積算する要はなかったと認められる。

 したがって、アンテナ組立て及びすえ付け調整費については電波研究所制定の「施設関係請負工事の契約事務取扱」に定める適当と認められる乗率等により、土木工事設計費については郵政省大臣官房建築部制定の「設計等外注実施要領」によりそれぞれ積算するものとして工事費を修正計算すると、積算漏れとなっていたアンテナ組立て足場費等2,133,974円を考慮しても総額41,894,749円で足り、本件契約額はこれに比べて約1210万円割高であったと認められる。