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  • 昭和51年度|
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配達地図原図の購入に当たり、補修正の工賃の積算が適切でなかったため、購入価額が割高になったもの


(42) 配達地図原図の購入に当たり、補修正の工賃の積算が適切でなかったため、購入価額が割高になったもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)業務費
部局等の名称 近畿郵政局
購入物品 通配区別配達地図原図9,992枚
購入物品の概要 新入職員の通区訓練及び非常勤職員の集配業務等に使用する通配区 別配達地図原図
購入価額 49,160,640円(1枚当たり単価4,920円)
納入業者 日本住宅地図出版事業協同組合
契約 昭和51年11月 随意契約
支払 昭和51年12月〜52年3月 7回

 この物品の購入に当たり、補修正の工賃積算の基礎とした作業時間の算定が適切でなかったため、購入価額が約570万円割高になったと認められる。

(説明)

 この配達地図原図は、トレーシングペーパーに業者所有の住宅地図原図の写しをとり、これを配達区画に合うよう張り合わせ、世帯主名等について転入転出箇所を補修正(住宅地図原図の作成時点以後に生じた転出世帯主名等を消去し、転入世帯主名等を書き入れる作業)のうえカラーコピーフィルムに密着焼付けをして作成するものである。そして、配達地図原図1枚当たりの予定価格積算の内訳をみると、工賃として補修正に3.16時間、張り合わせ、焼付け等に0.66時間計3.82時間を要するとし、1時間当たりの工賃1,000円に3.82時間を乗じて3,820円、材料費としてカラーコピーフィルム代等で298円09、一般管理費等として861円計4,979円09と積算している。

 しかして、上記のうち補修正作業時間については、配達地図原図1枚当たり55.41件の補修正に3.16時間、1件当たり3.42分を要することとしているが、当局において積算の基礎とした工数調査の内容が明らかでないため、本院において作業の実情を調査したところ、工数調査における作業方法が通常行われている作業の実態と異なっていることなどにより、1件当たり1.33分程度で足りており、1枚当たりの補修正に要する時間は、補修正の件数が住宅地図原図作成時点の取り違えから64.13件となるのでこれを考慮すれば1.43時間となる。また、張り合わせ、焼付け等に要した時間についても同様に不明確であったので、本院で調査したところ、その1枚当たりの作業時間は1.50時間であり、1枚当たりの作業時間は計2.93時間で足りたと認められる。

 いま、仮に上記により配達地図原図1枚当たりの価格を修正計算すると、材料費の過少積算額170円19を考慮し、かつ、1時間当たりの工賃について納入業者が実際に支給した1,047円を採用したとしても計4,341円89で足り、作成枚数9,992枚では43,384,165円となり、本件購入価額はこれに比べて約570万円割高であったと認められる。