会計名及び科目 | 一般会計 (組織)建設本省 | (項)都市計画事業費(項)河川等災害復旧事業費 |
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 | |
部局等の名称 | 秋田ほか9県 | |
補助の根拠 | 都市公園法(昭和31年法律第79号)、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)、道路法(昭和27年法律第180号)等 | |
事業主体 | 県3、市町村8計11事業主体 | |
補助事業 | 秋田県北秋田郡森吉町摩当沢川50年災害復旧工事等11工事 | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 284,939,622円 |
上記の11補助事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたりしていて、国庫補助金25,328,557円が不当と認められる。このうち、18,490,349円は一般会計の分(7工事)、6,838,208円は道路整備特別会計の分(4工事)である。これを県別に掲げると、別表 のとおりである。
これは、北海道ほか38都府県で、全国の工事箇所176,770のうち4.9%に当たる8,766(工事費361,446,907,440円、国庫補助金198,906,609,393円)について検査した結果である。
(説明)
前記の11事業主体においては、公共土木施設の新設、改良及び災害復旧の公共事業11工事を施行するに当たって、工事の設計が適切でなかったため施工したコンクリート擁壁が不安定な状態になっていたり、工事費の積算が適切でなかったなどのため軟岩等の掘削費や鋼矢板等の運搬費等を過大に計上したり、監督及び検査が適切でなかったためコンクリートの強度が設計に比べて不足しているものや底張りコンクリートの植石が施工されていないものなどを設計どおり施工されたとして処理したりしていた。
いま、上記の11工事を不当の態様別に示すと次のとおりである。
工事の設計又は工事費の積算が適切でないもの
5工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 11,510,557円 |
工事の施工が設計と相違しているもの
6工事 | 不当と認めた国庫補助金 | 13,818,000円 |
県名 | 工事 | 事業主体 | 工事費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた工事費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
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(50) |
秋田県 |
北秋田郡森吉町摩当沢川50年災害復旧 |
森吉町 |
千円 6,219 |
千円 5,398 |
千円 1,626 |
千円 1,411 |
工事の施工不良 |
この工事は、河川延長133mの護岸を復旧したもので、設計によると、側壁及び底張りのコンクリートは圧縮強度160kg/cm2 を基準としていた。しかるに、側壁コンクリート102m3 のうち37m3 は、締め固め及び養生が十分でなかったため、採取した試料の圧縮強度が44kg/cm2 から122kg/cm2 (平均93kg/cm2 )となっていて、強度が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(51) | 山形県 | 尾花沢市一般国道347号道路改良 | 山形県 | 50,981 | 38,235 | 1,758 | 1,318 | 工事費の積算過大 |
この工事は、道路延長100mを改良したもので、工事費の積算についてみると、岩石掘削工事において、中硬岩4,298m3 の掘削については、急斜面の箇所の岩石を爆破により切り崩しながら人力で処理する場合に適用する歩掛かりにより、掘削費を1m3 当たり2,890円としていた。しかし、うち、1,694m3 については、掘削幅が5m以上、延長が30m以上あって、ブルドーザ等による機械作業が可能な箇所であるから、爆破のためのせん孔作業を行いながら同時に爆破した岩石の処理を機械で行うことができるので、このような場合に適用する歩掛かりにより積算するのが適切であったと認められ、これによる掘削費は1m3 当たり1,325円である。いま、これによって工事費を修正計算すると、積算不足となっていた床掘り費等1,067,355円を考慮しても49,222,505円となり、本件工事費はこれに比べて約1,758,000円割高となっている。 | ||||||||
(52) | 岐阜県 | 本巣郡根尾村村道黒津越波線50年災害復旧 | 根尾村 | 18,258 | 16,322 | 2,248 | 2,010 | 工事費の積算過大 |
この工事は、村道延長108mを復旧したもので、工事費の積算についてみると、路側護岸の根固めコンクリートブロック1個当たりコンクリート所要量をA型は3.4m3 、B型は2.3m3 として単価を48,225円及び25,277円としていた。しかし、積算に当たり誤ってブロックの重量の数値をコンクリートの所要量の数値としたもので、実際は1個当たり所要量は1.5m3 及び1.0m3 であるから、単価は28,702円及び20,313円となる。このほか、重機械の運搬費等の積算が過大となっている。いま、これらによって工事費を修正計算すると16,009,000円となり、本件工事費はこれに比べて約2,248,000円割高となっている。 | ||||||||
(53) | 兵庫県 | 姫路市駅南幹線及び北部幹線公共下水道新設 | 姫路市 | 76,000 | 45,600 | 4,415 | 2,649 | 工事費の積算過大 |
この工事は、下水道管きょ延長174mを新設したもので、工事費の積算についてみると、土留め用鋼矢板等722tの運搬費を6t積み貨物自動車の1台当たり運賃料金に運搬トン数を乗じて8,094,475円と算定していた。しかし、運搬費は貨物自動車1台当たり運賃料金に上記鋼矢板等の運搬に必要な貨物自動車の台数を乗じて算定すべきところ、誤って運搬トン数を乗じたものであり、また、本件のような大量かつ長大な鋼矢板等の運搬には10t積み以上の大型の貨物自動車を使用することとすべきであり、適正な運搬費の積算額は2,516,000円となる。いま、これによって工事費を修正計算すると、積算不足となっていた土留め用鋼矢板の打ち込み費等1,030,390円を考慮しても総額71,584,927円となり、本件工事費はこれに比べて約4,415,000円割高となっている。 | ||||||||
(54) | 島根県 | 美濃郡匹見町一般国道191号道路改良(第1工区) | 島根県 | 111,741 | 83,805 | 4,136 | 3,102 | 工事の設計過大及び工事費の積算過大 |
この工事は、道路延長500mを改良したもので、設計についてみると、岩石等掘削工事において掘削土量を43,354m3 と算定していた。しかし、掘削断面積等の計算に誤りがあり、適正掘削土量は42,179m3 であって,1,175m3 が過大に計上されている。更に、工事費の積算についてみると、適正掘削土量42,179m3 のうち、中硬岩318m3 及び軟岩4,133m3 の掘削については、急斜面の箇所の岩石を爆破により切り崩しながら人力で処理する場合に、また、れき混じり土2,410m3 掘削については、人力で施工する場合にそれぞれ適用する歩掛かりにより、掘削費を1m3 当たり2,769円、1,520円及び693円としていた。しかし、中硬岩及び軟岩の全量については、掘削幅が5m以上、延長が30m以上あって、ブルドーザ等による機械作業が可能な箇所であるから、中硬岩については爆破のためのせん孔作業を行いながら同時に爆破した岩石の処理を機械で行うことができ、軟岩については爆破によらずリッパー付きブルドーザにより掘削することができ、また、れき混じり土のうち796m3 についてはブルドーザにより掘削することができるので、このような場合に適用する歩掛かりによりそれぞれ積算するのが適切であったと認められ、これによる掘削費は1m3 当たり1,255円、183円及び80円であって、掘削費が過大に積算されている。いま、上記の設計過大分及び積算過大分を修正のうえ工事費を計算すると、現場作業条件による掘削歩掛かりの補正率の適用を誤ったことなどにより積算不足となっていた2,409,814円を考慮しても107,604,552円となり、本件工事費はこれに比べて約4,136,000円割高となっている。 | ||||||||
(55) | 徳島県 | 美馬郡木屋平村県道徳島剣山線51年災害復旧(第2分割) | 徳島県 | 8,474 | 6,745 | 1,512 | 1,203 | 工事の施工不良 |
この工事は、道路延長115mをしたもので、設計によると、路側及び山留めのコンクリートブロック練り積みの胴込め、裏込めのコンクリート123m3 は圧縮強度160kg/cm2 を基準としていた。しかるに、路側コンクリートブロック練り積みの胴込め、裏込めのコンクリート94m3 は、打設に当たり、 搬入した生コンクリートに水を加えたり、つき固め及び養生が十分でなかったりしたため、粗骨材とセメントモルタルとが分離して、コンクリートが著しくぜい弱で不良なものとなっている。 | ||||||||
(56) | 香川県 | 木田郡庵治町鎌野川51年災害復旧 | 庵治町 | 27,400 | 24,249 | 1,130 | 1,000 | 工事の施工不良 |
この工事は、河川延長574mの護岸を復旧したもので、設計によると、底張りコンクリート171m3 は圧縮強度160kg/cm2 を基準としていた。しかるに、このうち61m3 は湧(わ)き水に対し水替えが十分でないまま打設したなど、施工が適切でなかったため、採取した試料の圧縮強度が72kg/cm2 から120kg/cm2 (平均102kg/cm2 )となっていて、強度が著しく低いものとなっている。 | ||||||||
(57) | 愛媛県 | 宇和島市市道広小路線交通安全施設新設 | 宇和島市 | 12,500 | 8,333 | 2,873 | 1,915 | 工事の施工不良 |
この工事は、歩道延長667mを新設したもので、設計によると、路床の盛土は掘削流用土及び切り込み砕石を、路盤は粒度調整砕石を厚さ10cmに、表層は密粒度アスファルトコンクリートを厚さ3cmに、それぞれ十分締め固めて施工し、また、舗装止めコンクリート延長654mは高さ25cmで施工することになっていた。しかるに、路床や路盤の締め固めが十分でなかったなどのため路盤の厚さは5cmから27cmと著しく不均一となっていたり、表層の厚さが2cm程度不足している箇所があったり、舗装止めコンクリートも延長424mは高さが2cmから13cm(平均6.3cm)不足していたりしていて、施工が著しく粗雑となっている。 | ||||||||
(58) | 高知県 | 吾川郡池川町坂本谷川50年災害復旧 | 池川町 | 37,975 | 37,861 | 7,810 | 7,787 | 工事の施工不良 |
この工事は、河川延長361mの護岸を復旧したもので、設計によると、河床が急勾配であることから、底張りコンクリート1,368m2 には、流速を減殺させ、コンクリートの摩耗や底張りコンクリートを施工していない下流部の河床の洗掘を防止することなどを目的として、径15cm内外のぐり石を10m2 当たり70個植えむ込こととしていた。しかるに、底張りコンクリートには植石は全く施工されておらず工事の目的を達していない。 | ||||||||
(59) | 高知県 | 幡多郡三原村村道中央線道路改良 | 三原村 | 17,965 | 11,976 | 753 | 502 | 工事の施工不良 |
この工事は、道路延長316mを改良したもので、この工事で施工した排水路延長333mは設計によると、全延長に基礎砕石を厚さ15cmに敷き並べ、その上に鉄筋コンクリートの排水路を62m、無筋コンクリートの排水路を271m施工することになっていた。しかるに、延長105mは基礎砕石が全く施工されておらず、また、鉄筋コンクリート排水路のうち22mは、底部及び一部側壁の鉄筋が施工されていないため強度が著しく低下している。 | ||||||||
高知県計 | 55,940 | 49,837 | 8,563 | 8,289 | ||||
(60) | 長崎県 | 長崎市神の島公園整備 | 長崎市 | 12,824 | 6,412 | 4,860 | 2,430 | 工事の設計不適切 |
この工事は、公園内に園路、駐車場等を新設したもので、駐車場の土留めコンクリート擁壁延長42mについては、地盤、土質等の調査を行わないまま「建設省土木構造物標準設計」を参考として地盤の支持力22t/m2 、滑動に対する安全率2以上である場合の擁壁断面を設計のうえ施工していた。しかし、現地について調査したところ、擁壁の一部が前面に押し出された極めて不安定な状態となっていて工事の目的を達していない。なお、本件施工箇所について市当局においてその後地盤、土質等の調査を行った結果によっても、地盤支持力は10t/m2 、未満滑動に対する安全率は0.78にすぎない状況であった。 | ||||||||
合計 | 380,337 | 284,939 | 33,122 | 25,328 |